同級生と転入生


着々と組み分けが行われていた此処ホグワーツ。しかし、新入生を二人残した状況で、校長先生が席を立った。それにザワリと反応する在校生。

「それでは最後に、二年生への転入生を紹介しようかの。二人とも前へ。」

ガタリと椅子から立ち上がる二人に全生徒の視線が集まる。一人は金色の髪に青色の瞳を携えた快活そうな印象の少年。もう一人は黒髪を後頭部で一括りに纏めた鋭い瞳、知性を感じさせる落ち着いた雰囲気の少年だ。
見た目正反対のような二人だが、どちらも整った顔立ちをしており、女生徒の心を掴むのは一瞬だったようだ。周りの女生徒が小さく悲鳴をあげた。それを怪訝に思いながら周りを見渡すと、右隣に座っていた吉田が顔色を悪くして二人を凝視していた。

「二人は去年誤りがあってふくろう便が届かなかったのじゃ。二人ともとても優秀での、一年生の勉強範囲は既に終わっておる。」

それでは組み分けを始めようかの、と書類に視線を落とした校長先生。ユキの事も不可解だったが、取り敢えず視線を前に戻すと、金髪の奴と一瞬視線が合った気がした。

「ナラ・シカマル!!」

その視線は直ぐに逸らされ、黒髪の方が椅子に座った。組み分け帽子を被り、数秒の後声高々に組が発表された。

「グリフィンドール!!」

告げられた組に思わず顔をしかめる。グリフィンドールからあがる歓声に溜め息を吐いてチラリと視線を右隣に移すと、吉田が机に突っ伏していた。

「お、おい。どうしたんだ?」

腹でも痛いのかと柄にもなく心配すると、再び校長の声が響く。

「ウズマキ・ナルト!!」

吉田が声にピクリと反応して、肩を震わせた。なんだ、彼奴はもしかして知り合いなのか?しかし、この反応からして良い関係では無さそうだ。

「おい吉田、大丈夫か?」

コクコクと頷く吉田。これは一旦保健室に連れて行った方がいいのでは、と肩に手を置いた次の瞬間。

「──グリフィンドール!!」

ワァァァァァアアッッ!!とグリフィンドールからあがる歓声。そしてブッと吹き出した吉田に身体が固まる。

「ブッ、ククク…!グリフィンドールって!一番似合わなっ…!!」

グリフィンドールの歓声で他の生徒には聞こえないらしいが、机に突っ伏したまま肩を震わせ、声を押し殺すように爆笑する吉田。こいつがこんなに感情を表に出すのを初めて見た。

「吉田、大丈夫か?」
「ん、ゴメンゴメン。大丈……夫じゃないなーコレは。やっべー死ぬコレ。」

目元に涙が浮かんでいる吉田。その涙が笑ったからだけでは無いように思えて。口では大丈夫では無いと言いながらも、その口元は嬉しそうに緩んでいて。
その理由が僕には分からなかったけれど、今までコイツの表面しか知らなかった僕は、少しだけ吉田を知れた気がして。ハンカチを取り出して差し出せば、今まで見た中で一番自然な笑みを向けてくれた。





以上セブルス視点でした。

ナルト→グリフィンドール
シカマル→レイブンクローかグリフィンドール
ユキ→スリザリン

シカマルはレイブンクローにしたかったんだけど、ナルトと離れさせると出番無くなりそうなのでグリフィンドール。
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