尋ねる

休み時間になって三郎と、席が離れている雷蔵と一緒に優芽の席へと向かう。クラスメートもチラチラ気にしているみたいだが、この休み時間は知り合いらしい俺達に譲ってくれるみたいだ。
顔は可愛い部類だろう。今時の子らしく強調された目元、紅…じゃなくてグロスの塗られた潤った唇、ほんのり赤く染まった頬。うん、可愛いとは思う。

「え、と…優芽は女の子、だよな?」
「当たり前じゃない!どっから見ても女の子でしょ?」
「前は、男だったよな?」

三郎が言った言葉に頷く。記憶の中の君の姿は見えないけれど、確かに君は男だった。

「え?……あ、うん!でも女の子になっちゃったみたいなの。」
「そ、そうか。なんだか話し方も女の子だから不思議な感じがして。な、雷蔵。」
「え?あ、うーん。そうだね。」
「(ふふふっ、私が可愛くなっちゃっててビックリしたのね!)」

ニコニコ笑う優芽に引きつった笑いを返す。そ、そっか女の子なんだ。あーでもアイツは女装も凄く似合っていたっけ。立花先輩や4年生にも気に入られていたっけ。

「ねえ!他の皆は?」
「あ、兵助と勘ちゃんは隣のクラスなんだ。」
「ハチ、時間も無いし後でメールしとけよ。次の授業中ずっとソワソワさせておいてやろうぜ。」
「ははっ、いいぜ。」
「もう三郎ったら意地悪ね!私だって早く会いたいんだよ?」

頬を膨らませて少し怒った表情をする優芽。声は怒ってはいないからフリなんだろうけど。

「、あぁすまんすまん。」

なんだろうこの違和感。何か、何かが違『キーンコーンカーンコーン』

「もう授業か。」
「席戻ろう。」
「うん、またねっ!」

思考は中断され、ガタガタと席につく。あれ、何を考えていたんだっけ。あ、そうだ。兵助と勘右衛門にメールをしようと思っていたんだ。
教室に入ってきた先生から見えないように、机の下に携帯を取り出してメール画面を開いた。