望む

「来年は五年生かー。」

俺と兵助、**の三人は俺達の部屋で各々時を過ごしていた。いや、正確に言えば、俺の宿題を兵助がみてくれていた所に**が本を片手に遊びに来た訳だが。
静かに読書していたかと思ったら唐突に冒頭の台詞を吐いたのだ。いい加減勉強が嫌になっていた俺はこれ幸いと**の話に乗っかる事にした。

「なんだ?どうしたんだよ突然。」
「いやぁ、どんな一年が来るのかなって思ってさ。」
「ははっ、まだ先の話じゃねえか。」

チラリと兵助を見ると呆れた顔をして俺を見ていた。どうやら俺の下心はバレバレらしい。それでも一つ溜め息を吐いて兵助も話に乗ってきてくれた。

「火薬に来てくれないかなぁ。先輩が卒業されたら、俺と一年の三郎次だけになるんだよな。」
「俺の所だって欲しいよ!只でさえ孫兵が次々と生き物を捕まえてくるから人足りてないんだ。先輩が居なくなったら世話するのマジで徹夜だ…」
「そう思うと五年生の居る委員会はいいよな。」
「**って用具委員だよな。」
「うん、委員長が卒業しても食満先輩も居るし、二年の作兵衛もしっかりしてるよ。」
「いいなぁ。俺達来年は委員長代理だもんな。」
「だな。あー、一人でも多く一年が欲しい。」
「大丈夫だって!」
「ん?」
「あ?」
「二人なら先輩が居なくても絶対上手くやれるよ!俺が保証する!!」

グッと両手を握り、キラキラとした笑顔をする**。そ、そんなに俺達のこと信頼してくれてんのか…!と感動していたが、次の言葉で思わず転けた。

「だから一年は用具に頂戴ね!!」

そんないい笑顔で言うなよな!晴れ晴れとした顔で笑った**の頭をコツンと小突いて笑いあった。