久々に蘭ちゃんと竜胆が遊びに来たかと思えば、PCの前に座らされ蘭ちゃんから仕事を頼まれている土曜の午後。

人に仕事をさせておいて自分はリビングでおばあちゃんと寛いでるし、竜胆はおじいちゃんと手合わせをしている…ずるい。
…仕事の依頼としてお金取ったろうかな。

蘭ちゃんから頼まれた仕事は、今の東京卍會について調べること。メンバーから構成、最近の出来事までわかる限り調べてほしいとのことだった。

なんで?って聞いたら友達の頼みって濁されたんだけど、まさか私に隠し事できるなんて思ってないよね?まぁ調べなくても予想はつくけど。

言われた通りに隊員達の情報を洗い出していく。
東卍はキャラが濃いというか…気になる子が多いなぁ。掘ったら面白そうな子ばかり。

伍番隊はムーチョのとこか。ムーチョはうちの兄弟と少年院で出会ったS62世代の1人。
拳1つで喧嘩するタイプだし、兄貴肌で優しい所があって、私は結構好きだったりする。


「……ん?」


え…ムーチョの隊の副隊長……すごい美人じゃない…!?

え、え!?マスクしてるけどこの目元…めちゃくちゃ美人じゃない…?(2回目)

名前はえーっと……三途春千夜。
あらやだ…名前も儚げで美しいのね…。


「ムーチョ…女の子従えてるんか…?
…いやさすがにそんな訳ないか」


独り言を言っていても始まらない。だってこんなの気にならない訳がない!これは調査のための偵察が必要ですね…!

蘭ちゃんにはとりあえずメンバーの情報を渡し、2人が横浜に向かったのを確認して家を出た。偵察のことがバレたら絶対に止められるし怒られるからね…東京にいる時はバレそうで危ない。


手始めに学校を張ってみるけど、登校してる様子は全くない。

そりゃそうか…うちの兄弟も行ってなかったわ…。
私はおじいちゃんとおばあちゃんにちゃんと卒業するって約束したからね、中学も高校もちゃんと行ってるんですよね。こう見えて。

んー…学校がダメとなると、とりあえずは東卍の集会近くで見つけるのが早いかな。

武蔵神社の近くを偵察しているとムーチョの車を見つけた。その近くに隠れて待機していると、ムーチョと例の副隊長が歩いてくるのが見えた。


うーん、近くで見ても美人だし…顔ちっちゃ…私よりまつげ長くない?髪もあんな派手髪なのに綺麗だし…。しかも副隊長ってことは喧嘩も強いのかな。

てか意外と身長あるのね。特服の上からでも腰が細くてスラッとしてるのがわかる…。横のムーチョがデカくてゴツいから余計かな。

そんな事を思いながら夢中になって偵察をすること3日目。あれ?さっきまで一緒だったムーチョがいない。
…と思った矢先だった。


「てめぇ誰だ……って、深愛…?」

「よ、よ〜、ムーチョ…久しぶり〜、えへへ…」

「何やってんだコソコソと…」

「…偵察?違うな、観察か」

「はぁ…?」


まさかムーチョに捕まるとは…これは後で蘭ちゃんにバレるかもな…。まぁでも、おかげで三途くんと友達になれるチャンスができたな!


「隊長あの…知り合いすか?」

「あ、あぁ…まぁな…。昔馴染みの妹分だよ」

「どうも!竹内深愛です!」


ムーチョに首根っこを掴まれたまま自己紹介をすると、無言のまま小さくお辞儀をされる。
間近で見ると目元の綺麗さがよりわかるなーと思いながらにこにこしていると、漸くムーチョが解放してくれた。


「三途からストーカーされてるかもって相談されてな…まさかお前とは…」

「ちょいちょい、誰がストーカーだ!人聞きの悪いこと言わないでほしいね」


ストーカーとは失礼な。これはただの情報屋による情報収集です。正当な観察です。


「隊長のご友人とは知らず、すみません」

「お前は気にすんな」


はぁ…とため息をついてから煙草に火をつけるムーチョ。近くにあった椅子に腰を下ろすと、探るような渋い顔をしてこっちを見た。


「…で、深愛お前、何が目的だ?
(イザナはまだ動いてねーはずなのに…)」

「いやー、ちょっと東卍のこと調べてたらすごい美人がいるなーって気になっちゃって」

「…は?」


ムーチョの顔に「イザナはまだ動いてないはず」と探りたい気持ちが書かれているのがわかる。
大丈夫、蘭ちゃんの依頼もあるしそろそろではあるだろうけど、まだ動いてないってば。


「三途くん、ちゃんと男の子なんだね〜安心した」

「は?何言ってんだ…」

「てっきりムーチョが美人を従えてるかと…」

「てめ…アホか」

「ふふふ、冗談だってば。
あ、三途くんに興味があるのは本当だけど!」


ため息をついて頭を抱えたムーチョを無視して満面の笑みでそう言うと、三途くんは全く表情を変えないままチラッとムーチョの方を見た。


「…だとよ、三途。
友達になるにはお勧めだぞ、深愛は」

「なんか含みを感じるんですけど」

「お前の彼氏になる奴の気持ちは一生わからん」

「は?クソ失礼」


ムーチョとやいやい言い合っている間も三途くんは黙ったまま。


「まぁいいや!これ私の連絡先だから気が向いたら連絡してね!君とはまた会える気がするし」

「…うっす」


無表情のままだけどメモは受け取ってくれたし、まぁとりあえずは満足かな。

連絡をくれなかったとしても、この先もし“あの人”が動き出すなら、三途くんにもまた会うことになるだろうし。

まぁ…そうなると仲良くなるっていうのは難しくなりそうだけどね…。



ただのファンのひとりです
(近くで見てみたかっただけなんです)

【おまけ】
「三途お前、間違っても深愛に惚れんなよ」
「え?」
「手出したら灰谷と抗争になるし、お前殺されるぞ」
「え…?」

 
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それではまた、違う世界線で。