謎の動悸と心臓の痛みの正体を知りたい春千夜は深愛のことを偵察することにしたが、さすがは情報屋、1日目にして早速バレてしまい、電話で新宿のカフェに呼び出されてしまった。

なんとなく特服で行くのはまずい気がして私服で行くと、「おぁ…ただのイケメンだ…」と謎の反応をされる。


「三途くんあの…私、怖がられてるかと…」

「え?」

「そういう訳じゃ…ないの?」

「…やべぇなとは思いましたけど」

「あ、思ってたんだね…」

「そりゃあまぁ…俺より喧嘩強い女に会ったことないんで」

「私が三途くんより強いかはわからないじゃん」

「俺あんなに素早く人の骨折れねぇっす」

「う"っ…」

「でも、見なかったことにします」

「えっ」

「…見られたくなかったっぽいんで」

「三途くん…」


なんとなく照れくさくて飲み物に手を伸ばすと、目の前の深愛さんから、ふふふっと笑い声が聞こえた。


「三途くん、優しいんだね」


ふにゃっと笑って言う深愛さんに、また心臓がギュッと掴まれる感覚に襲われる。

まただ、なんなんだよこれ。
…落ち着け俺、深愛さんに悟られるな。


「てかさー、敬語やめない?歳近いんだし。私東卍と関係ないから上下関係とかもないっしょ」

「いやでも…年上だし………ん?」

「ん?なぁに?」


え、深愛さんって年上だよな…?
隊長と親しそうに話してたし歳近いんだろうなって思ってたけど…でも灰谷兄弟の妹分ってことは2人より年下なのか…?じゃあ案外、俺と変わらなかったり…?

…まぁ正直見た目は中学生でもいける顔立ちしてるけど…
中学生でピアスとタトゥー……いや、いるわ。
俺の周りにめっちゃいるわ。
てか俺もピアス開いてるわ。やべぇ全然あるじゃん。


「おーい、三途くーん」

「あ…すいません」

「どしたの?」

「いや…深愛さんて年齢不詳だなって…」

「えっ」

「と、年上…っすか?」

「はぁ…17歳で君より2歳上だよー。竜胆とタメね」

「あ、なるほど」

「ムーチョが灰谷の妹分なんて紹介するから混乱するんだよねー。竜胆はタメだしどっちかって言うと手のかかる弟だっつの」


拗ねたような表情で口を尖らせながら、頬杖をついて灰谷竜胆の文句を言う深愛さんは、正直…子供みたいで可愛くて、2つも年上には絶対に見えないと思った。


「…どういう、関係なんすか?」

「んー?幼稚園からの幼馴染だよー。
でも今ではすっかり大切な家族かな!」

「へー…」


灰谷兄弟といえば六本木のカリスマとして恐れられているすげぇ兄弟だ。
そこに並べちゃう深愛さんって、まじで何者だよ。


「てか、敬語!やめようってば〜。
仲良くなりたいのに距離感あるもん〜!」


駄々っ子みたいに言う深愛さんにちょっと笑いそうになってしまう。
やっぱこの人、年上には見えねぇよ。


「…わ、わかったよ」

「お!やったー!ふふふ〜」

「…ふっ、変な人っすね」

「ん?なんか言った?」

「んーん、なんでもない」

「えー?」


ふと、隊長の言っていた事を思い出した。
「俺らみたいな世界にいるとは思えねぇような、不思議なやつなんだよ」
…って、本当にその通りだなって思う。

利害とか損得じゃなく誰かと仲良くなりたいと思ったのは、一体いつぶりだろう。

……真兄、いいよね…?
ちょっとだけ、寄り道させてくれ。



心地よい引力に身を委ねて
(磁石のように引き寄せられていく心)

 
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それではまた、違う世界線で。