アオキさんと既成事実を作りたかった
好きな人が居る。


18の頃、他地方から久々故郷に戻りオモダカさんに挨拶へとリーグを訪れた際にさっと紹介された四天王のひとり。酷く草臥れていたがかっこいいお兄さんだと思った。


そこから4年。仕事の合間にその人が務めるチャンプルタウンに足繁く通い顔を覚えてもらって、名を知ってもらい、少しずつ、少しずつ。


その人は他人に興味が無いようで意外と鋭い人で、私のちっぽけな恋慕など最初の最初に見抜いていた。


当時18の私に向けて貴方の感じている気持ちは若さゆえの過ちのようなものだとその人がぼそりとよく零していたのを覚えている。


いま思えば私を気遣い、引き返すように警告を送るくせして私が傍に居ることを咎めはしなかったその人の言動は少し、狡いと思う。そんなところも大好きだけれど。


20歳を超えたら、私の仕事が落ち着いたら、気持ちがずっと変わらなかったら。


この4年その人が出した時間稼ぎとも言える条件はとうにクリアしているのに煮え切らないその人に近頃少しやきもきしている。正直な話焦っているのだ。


その人……アオキさんは、流されやすいように見えて本当に嫌なことは嫌だと言える人だし、意外と逞しくて他人に優しい人だから、私が本当に嫌だったり迷惑なら事を長引かせずハッキリと断りを入れてくれる、はず。


私の願望込みになってしまうが嫌われている、というのはこの4年間全く感じない。20歳を超えた辺りから慈しむような、此方が思わず押し黙ってしまう程の優しい空気を感じることもある。


18の頃とは全く違うそれに、恋慕が少しづつ劣情に染まって行くのは心臓が少しずつ焦げて行く様ななんとも言えない苦しさに苛まれる。


つまりはある程度女として見てもらえているし、嫌われていないのだ。


これは有り寄りの有りなのでは?


そう思い始めてからがもう止まれない。そうでも無いくせしてまるで生娘のように1人熱が過ぎ去るのを待つだけの夜は本当に長く辛いのだ。短歌にでも出来そう。


長々と言葉を連ねたが、最終的に行き着いたところはただ1つ。





『……既成事実、作るしかなくない?』





ここでの既成事実とは妊娠ではなく性行為を指すものであり、アオキさんの責任能力に全てを委ねてしまおうという、あくタイプもびっくりな、成功してしまえばほぼ出来レースの様ななんとも意地悪な作戦なのだ。





思い立ったが吉日とオモダカさんからアオキさんの予定を聞き出しアオキさんと飲みの約束を取り付け、そこそこに飲みながらお開きの空気の中アオキさんのある言葉を待った。


「……送ります。」


そう、この言葉を待っていた。帰り道危ないので家まで送りますよ、の意を持つこの言葉を。アオキさん検定1級の私を舐めるなよ。


思わずガッツポーズしそうになるのを抑え私側の席にかけてあったアオキさんのコートからハンガーを引き抜いた。


『寒いのに良いんですか?私的にはアオキさんともっと一緒に居れてラッキー、ですけど……。』


座敷を立つ為に式台に腰掛け靴を履くアオキさんの肩にコートを掛けながら問う。


「腹ごなしには丁度いいので
それとコート、ありがとうございます。いつも言っていますがそんなに気遣わなくて大丈夫なので……」
『これぐらいさせてください』
「……そうですか」


なんやかんや毎度お会計を持ってくれるアオキさんにしっかりとお店の外でお礼を告げ、2人で私の自宅へと歩き出す。


『もうナッペ山から雪が降りてきてますね』
「えぇ、外回りが辛い季節になりました」
『それ、夏も言ってませんでした?』
「夏も辛いので」


いつも通りの会話を楽しみながら歩いているとあっという間に家に着いてしまう。


いつもなら此処で送ってくれたことへのお礼などその日の感謝を告げて別れるのだが、今日の私はひと味違うのでどちらかと言えばここからが本番なのだ。


『……アオキさん』
「はい」
『その……寒くて手が悴んじゃったみたいです
本当に申し訳ないんですけど鍵だけ開けてくれませんか?上手く鍵が持てなくて』
「……はあ」


生返事を返したアオキさんをやっぱり無理があったか、と少し不安になりながらちろりとアオキさんを伺うとキーケースを受け取り鍵を開け始めてくれた。


カチリ、鍵の開く音がしてアオキさんが気を遣ってドアを開けてくれる。


「開きました」


此方の気も知らず呑気な声を出すアオキさんに若干の申し訳を覚えながら玄関とアオキさんの一直線上に立つ。


『ありがとうござい、ま、す!』
「お、……」


いつも通りを装った声でお礼を告げながらアオキさんへと腕をのばし近付く勢いごと玄関に押し込む。


完全に気を抜いていたのか私が意外と逞しかったのか酷く驚いた顔をしながら我が家の廊下に倒れ込んだアオキさんを尻目に素早く身を滑らせ玄関へと入り込む。


背後でドアが重く閉まる音を聞き届け後ろ手で素早く鍵とドアガードを掛ける。勝手知ったる我が家哉。


『……ごめんなさい、強く押しすぎました』


倒れ込んだうつ伏せから体を反転させ式台の辺りに腰掛けながらこちらを見上げるアオキさんの物言いたげな視線が私に突き刺さる。彼の鍛え上げられたポケモン達が主人の危機に飛び出してこないのは、信頼されてるからか何なのか。


『手が酷く悴んだ、というのは嘘です。
そして私はいま、差程酔っていません』
「酔っぱらいは皆、そう言います」
『……とにかく、私の恋慕を知っていながら好きにさせていたアオキさんが、悪いんですからね』


カバンとコートをその場に落とし、座り込むアオキさんの足の間に身体を滑り込ませ膝立ちになると、玄関に落ちた私のコートを目で追っていたアオキさんの頬に手を添えた。


「……手、やっぱり冷えてるじゃないですか。」


そう言いながらアオキさんの暖かく大きな手が上から重ねられる。


『あの、私いまから貴方を襲うんですけど。わかってますか?』


あまりに呑気な態度に思わず要らぬ問い掛けをしてしまう。アオキさんの肩にも手を添えてぐっと体重をかけるも意外と逞しいアオキさんは床に着いた片手だけで私の体重と自身の体重を支えてしまった。


「えぇ、わかってます。」


お好きにどうぞ、となんでもなさそうな顔で告げるアオキさんに全くどうしてこの人は、と感情に語彙が追いつかなくなる。


『好きに、させてもらいます』


瞳を閉じ、頬に添えた手に軽く力を入れアオキさんのかさついた唇に軽く口付ける。私のつけているリップクリームの潤いを彼に移すように何度か啄みながら薄目を開けてアオキさんを盗み見ると、ただただ平坦なダークグレーが私を見つめていた。


まだまだ余裕って顔だな。思わずむっとしながらまた瞳を閉じアオキさんの唇に舌を這わせると案外すんなり咥内へと迎え入れられる。自身のものよりずっと厚くて大きい舌と自身の舌とを絡め唾液を混ぜ合う。上顎を擽って舌先を柔く噛む。


『ん……ふ、ぅ……』
「……ん」


アオキさんの肩に添えていた手を滑らせ手探りでネクタイを緩ませる。膝立ちから体制を変え床にぺたんと座り込みながらアオキさんのベルトに手をかけると、アオキさんはその間も何故かご丁寧にキスをしやすいように少しかがみ首の角度を調整してくれる。


若干の疑念を抱きながら唇を離すと、零れ出した銀糸がアオキさんのシャツを汚した。


『っ、……アオキさん。一体どういうおつもりですか』


アオキさんのベルトを抜き取りながら疑問符を忘れたような口調でアオキさんへ真意を問うと意外にも頭上から返答が帰ってきた。


「いえ、ただ……ラッキーだな、と」


思いもよらぬ言葉に思わず顔を上げてしまうと、慈しむように蕩けたダークグレーと完全に雄の表情をしたアオキさんが此方を見つめていた。


『は……』
「これ以上はここでは勿体ない。……ベッドを借りますね。」


それだけ言うと意外とすんなり起き上がったアオキさんにひょいと抱き上げられる。


『え、……えっ!?アオキさん!!?』
「ベッドルームは奥ですかね……お、あった。」


知らぬ筈なのに迷いのない足取りによってあっという間にベッドの上へと降ろされる。アオキさんって人間を持ち上げられるんだ。アオキさん格好良いな。ぐちゃぐちゃになった思考回路ではそれだけしか分からない。


『あの!あの、あの……』
「なまえさん」
『、はい』


強い口調で名を呼ばれ咄嗟に返事を返すといつの間にかスーツのジャケットを脱ぎ捨てていたアオキさんに押し倒された。何故。


「自分は、貴女に惚れてます。」
『っ!?』
「そして卑しいことに貴女に劣情さえも募らせています」


急に暴露される数々の情報にとりあえずなにか返事をしなくてはと必死に脳内から言葉を絞り出す


『は、初めて、聞きました……』


いや、可笑しいだろ。その返答は。


「初めて言いましたから。
そして、貴女はいま正直言って据え膳です」


倒れ込む私の上に陣取ったアオキさんがぐっと体制を低くすると私の胸がアオキさんの厚い胸板に潰されて行く。


「いただきますね」


不穏な一言ともにあっという間に口付けられ舌を奪われてしまう。


『っ!?、ふ、……!ん、』


本当に捕食するかのような勢いとじゅるじゅると遠慮なくたてられる唾液の音にどんどんと思考が溶かされて行く。


『ん、は……ぁ、ふ……ぅ♡、ひぃっ!? 』


酸欠と共に鈍る思考に気を奪われていると器用にワイシャツのボタンを開けたアオキさんの手が性急に下着をずり上げ既に期待で勃ちあがっていた乳首をきゅっと摘んだ。


『ぁ、……ん、んん……♡は、ふ……』


快楽と追いつかない気持ちとで苦しくなりかけた頃合にアオキさんが顔を離した。


『は、は……はぁ……♡』


息を整えようと必死に息を吸う私の額に軽く口付けるとアオキさんは力の抜けた私の身体からさっさと衣服をとっぱらってしまった。お早い……。


「ふ、かわいい、です」


頬を緩ませたアオキさんに目を奪われているとアオキさんは舌を胸に、指を秘部に這わせ始めた。


『ちょっ、ちょっと!まって、アオキさんっ!ぁっ♡んっ、そんなに、されると……ぉ♡イっちゃう、からあっ♡』


待ったをかけると舌でぐっと乳首を押し込まれ、入口を弄ぶだけだった指はぐっと中に押し入ってきた。


『あ、んっ♡まって、まってぇ……♡♡』
「待ちません。自分の前にあんなに美味そうなご馳走をぶら下げたなまえさんが悪いんですから」
『っ♡きゃうっっ♡♡、っ!?まって♡ほんとにぃ♡ぁ♡あ゛♡、っ♡♡♡』


2本に増やされた指でお腹側をぐっぐっと一定のリズムで押され、陰核をかさついた親指の腹で嬲られると背中が浮き下腹部がふるふると震えてしまう。


『ィ♡あ゛ぁああっっ♡♡♡ごめん♡ごめんなさいぃ♡♡ぁんっっ♡も、しないっ♡♡からぁっ♡』
「謝罪はいりません。
ただ……責任は取ってください」


閉じかけていた脚をぐいっと割り広げられアオキさんの指で押し広げられた秘部に熱いものがあたる。


『ぅ♡……あ、おきさん♡♡……は♡、は♡』
「……挿入れますね」
『ぁ、あっ ♡ぁあぁ゛っっ♡♡』


宣言通りに肉壁をぐいぐい押し広げながら入ってくる怒張を向かい求める様に子宮が苦しくなるほど降りてきてしまうのを感じながら何とか苦しさを紛らわせようとアオキさんの男性らしく逞しい首に腕を回す


『ふ、ぅ♡は♡、っ♡♡』
「……狭、根元まで全部挿入りました……。苦しいですか」


問われながらすりすりと頬を撫ぜられると私の身体は酷く単純なもので、緊張していた力が少しだけ抜けてしまう。


『だいじょ、ぶ……です♡ぁ♡』
「ふ、そうですか。動いてもいいですか……」
『ん♡、はいっ♡動いて♡あっ♡♡ぁ♡あぁっ♡』


答えるや否や待ってましたと言わんばかりに始められる律動に膣奥が押しつぶされ完全に降りきった子宮口とカリとが引っかかる強烈な快楽に全てが塗りつぶされていく


『ぁ゛あ゛っ♡ぁ♡ん゛ぁ゛♡♡〜〜っ゛♡ん゛、くっ♡は、♡あっ♡あっ♡あ゛っっ♡♡ィ♡♡♡イくっ♡♡あっ♡ぁああぁぁああっっ♡♡♡♡っ♡ぁ゛♡ぁ゛あ゛あ゛っ゛♡♡イ゛♡♡♡も♡ィ、ったからあっ♡♡♡とまってぇ♡♡あっ♡あおきさんっ♡ぁ♡あぁ゛あ゛♡♡あっ♡♡♡♡ん゛♡〜〜、ぁ゛っ♡♡♡』
「は、……こんなに、蕩けてしまうんですね……なまえさん」


慈しむような瞳と急に切り替えられるゆったりと甘やかす様なストローク、すりすりと頬を撫ぜるかさついた親指の感覚にすっかり剥かれた身体はぴくぴくと跳ね上がってしまう


『ひ♡、ぃ……♡♡〜〜っっっ、♡ぁ〜〜〜〜♡♡ぁ♡』


濁点すらつかないほどにすんなり蕩かされて、視界がだんだと白く目の前のアオキさんのことだけしか考えられなくなっていく。真綿で首を絞められる様に、ひどくくるしい。アオキさんが好きなことだけしかもう分からない。


『っ♡、あおきさ、ん♡のことぉ♡すき♡すき、なんれす♡ぁっ♡♡ひ、また♡イく♡イきます♡♡ぅ♡ぁ……♡、〜〜〜〜〜〜っ♡♡♡♡は♡ぁ♡♡』


そうして迎えた緩やかな絶頂に身を任せているとアオキさんは私の脚を肩に掛け更に挿入を深いものにした。


『〜っ゛♡ぁ゛♡……あ゛♡♡、ま、て♡♡ぇ♡』


深い挿入と底のない快感に足の裏がじわじわと熱くなる


「なまえさん」


どうにか熱を逃がしたくてシーツを必死に手繰り寄せて腰を逃がすもアオキさんの大きな手で腰を捕まれずりずりと元に戻されてしまう


『ぁあっ♡は♡、ぁ♡♡〜っ♡ぅ♡んぁ♡♡♡ィっ♡♡〜〜〜〜っ♡♡♡♡♡ぉ゛♡ぁ♡まって♡ぁっ♡あぁ゛♡♡♡』
「、明日の朝……っ」


じわじわと視界の端が白んできて目の前のアオキさんがぼやけていく


『あ♡イくのっ♡とまんないっっ♡♡あおきさんっっ♡♡ぁ゛♡まってぇ♡♡♡も、むりっ♡ひぃっっ♡』
「……もう一度、言いますが」


一定のリズムで押し潰される膣奥に内腿がひくひくと痙攣してアオキさんを締め付ける


『あ♡ぁあぁぁっ♡は♡、は♡ぁ♡あぁっ♡♡〜っ♡ぅ♡ぉ゛♡♡♡っ♡〜〜♡♡っ♡♡♡♡♡』
「貴方が、好きです」
『っ♡……〜〜〜っ♡♡、ぁ♡、〜〜っ♡、っ゛♡♡♡』
「……いまは、聞こえていないでしょうけれど」
『、♡……ぉ♡♡、〜〜〜っ♡♡♡♡♡♡ひ♡っ♡♡♡♡』





めのまえが まっしろに なった



















































意識の浮上を感じて大きく息を吸い込むと、鳥ポケモンの羽ばたきが聞こえてきた。


瞼越しに日光を透かして少しづつ目を開けていくと、見慣れた窓が見えて、あぁ朝かと今日一日のスケジュールを思い浮かべる。


今日は、休日か。


もう少し眠気に身を任せようと陽の光から目を背ける為に寝返りを打とうと身体を捻ると猛烈な違和感と軋むような痛みが腰から背骨に突き上げた。


『ぃ゛っっ……!?』


あまりの衝撃に思わず呻くと自身の腰の辺りから知っているポケモンの鳴き声がした。


『……ムクホーク?』


この子は、確か……アオキさんのムクホークだ。


とりあえずムクホークの翼を撫でながら少しづつ昨日のことを思い出していく。確か昨日はアオキさんと飲んで、そのまま……。


思い出して思わず頭を抱えていると寝室の扉が開いた。


「……おはようございます」
『おはようございます……。
その、昨晩は───』


間が持たなくて言葉を続けようとするとアオキさんが軽く目線で制した


「自分が昨日言ったことを覚えていますか」
『え、と』


質問の意図が読めなくて思わず首を傾げる。


「やはり、聞こえていなかったようなのでもう一度言います
なまえさんが好きです。嫁に来てください」
『……嫁に』


物凄い勢いで押し寄せる情報の波に追い付けなくて手元のムクホークを見やると彼は早く何か言えとばかりに私の手をぐいぐい押してきた。


「……嫌、ですか」
『いえ違くて、びっくりしちゃっただけというか願ったり叶ったりというか、……ん?』


心做しかしゅんとしたアオキさんに慌てて言葉を返すと股からどろりと何かが零れ落ちた


『あの中に、生で……』


尋ねるとアオキさんは表情も変えずそれがどうしたと言う様な感じで頷いた


「責任は取ります」


だから、嫁に。と続けたアオキさんにええいままよと向き合った。


『ふ、不束者ですが……よろしくお願いします』
「はい、幸せにします」


どことなく噛み合っていない会話にアオキさんはふわりと頬を緩めた
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