▼【潔癖症】
◇リヴァイ「兵長、そんな言い方しないんですよ」
その日、彼女は彼の乱暴なその口調にくすくすと笑いながら、リヴァイの肩に触れた。
「スカーフ歪んでますよ?」
ある時は、胸元に手をおき、スカーフを直して、はにかみながらリヴァイの顔を覗き込んだ。
「またあとで会いましょう。ご武運を」
またある時は、壁外調査直前にリヴァイを抱きしめ、ふにゃりと頬を緩ませて肩に埋めた。その回された腕は背中に触れていた。
巨人の弱点であるうなじを切り落とすと、大量の返り血がリヴァイの肩に付着した。
刃を振り抜いてから1度鞘に納め、立体起動のガスを吹かして屋根を駆けると、肩の返り血が胸元まで零れていた。
背中の自由の翼は空を駆けるうちに、バタバタと煽られて埃に塗れていた。
「汚ねぇな…」
屋根に着地し、取り出したハンカチで返り血を拭うリヴァイ。
彼女の触れた自身の身体を、巨人の汚らしい血が蹂躙する。
彼女の優しげな体温を、掻き消そうとする。
「チッ…、うぜぇ」
血に塗れたハンカチを捨て、次に現れた巨人に向かってガスを吹かした。
壁の中に残った彼女は彼の帰りを待っている。
(あの綺麗な手が触れたこの場所を、巨人なんかに汚されるだなんて)