▼【森山先輩ハピバ】
◇森山「ハッピーバレンタインデーを略するとハピバになりますね。
というわけで、ハピバ。森山先輩」
「ちなみに俺のハッピーバースディは昨日だったんだが、キミは狙ったのかい? おちゃめさんだね」
「いいえ。知らなかっただけです。さっき笠松先輩に聞きした。
せっかく聞いたのに何も渡さないのもあれなので、私がお昼に購買で手に入れたチョコチップメロンパンを贈呈いたします。
辛うじてチョコは入っているんで、ホワイトデーは3倍返しですよ?」
「あ、別に誕生日プレゼントというわけでもないんだ」
「ハピバですよ。森山先輩」
(森山先輩、私、ホワイトデーには黄瀬くんのサインとかが欲しいです。待ってますね)
▼【誰かこいつの解決策をくれ】
◇緑間「緑間くんが可愛くて格好良すぎて胸が張り裂けそうなんだけどどうすればいいのかな、緑間くん」
「それを本人に言って、お前は何を求めているのだよ」
「私は本気で困っているのよ。
え? なんでこんな可愛い生き物がいるの? なにその細い指を強調するかのようなテーピング。なんで男の子の癖に私よりさらさらの髪してるの? ちゃんと男の子っぽいキリッとした目してる癖に下睫毛長いとか、まじ美人スキル磨きすぎだから。それに加えて、195cmという意味わかんない高身長の癖に、抱えているラッキーアイテムがそんな可愛らしいぬいぐるみとか、なんなのそんなに私の刺激して楽しいのか、緑間くん」
「本気で困っているのは俺の方なのだよ。
見ろ、このクラスの絶妙な雰囲気。どうしてくれる」
「はぁ。顔を赤くしている緑間くんが尋常じゃないくらいに可愛いわ」
「いい加減、自分のクラスに戻るのだよ。
あと、高尾はそれ以上笑うな」
真っ赤な顔をした緑間は高尾に足蹴したあと、彼女の頭を思い切り押さえ込んだ。
(じゃあね、緑間くん。明日のこの時間も愛を囁きに来ます)
(2度と来なくていいのだよ。
高尾、笑うな)
(む、無理だから、これ、で、笑うなとか、無理でしょ、真ちゃんwwwwwwwwww)
▼【サンタさんが来るよ】
◇緑間私が欠伸を零しながら寝転がると、テーピングまみれの左手が、私の頬や額を優しく撫でていきました。
「寝るのか?」
「だって、眠いのだよー」
「真似をするな、馬鹿め」
優しく撫でていた手がぴしっと私の額を叩きました。痛い。
「…ほら、早く寝ないとサンタさんが来ないじゃない?」
「煙突からの不法侵入で入ってくる中年を俺が許すとでも?」
「夢がないねぇ。私の彼氏様は」
「お前が夢を見すぎなのだよ」
彼はそういうと私の頬を包んで額と額を合わせます。顔にかかる彼の髪が擽ったくて。私の楽しげな悲鳴と、笑い声。
「あー、幸せなのだよー」
「………真似をするな、馬鹿め」
(そうして、ふたりで、いちゃつくの)
▼【ヒカリ】
◇黒子?「真っ暗闇でも、人はモノが見えなくなっちゃうでしょ?
でも、反対に眩しすぎても、人間の目には映らなくなっちゃうんだって」
「何が言いたいんですか?」
「アカくんたちが光だから。クロくんが見えないのは光の中にいるからなんだね」
僕を嫌いな貴女は、楽しそうに僕を嘲笑った。
僕が光には成れないことを知っているくせに。
▼【人事を尽くして君を待つ】
◇黄瀬→主→緑間「あのね。黄瀬、私は緑間くんのことが好きなんだ」
「な、なんで緑間っち!? あの人バスケは凄いけど…変人じゃあないっスか!」
「人事を尽くして天命を待つ。だっけ? 私はそれが好きなの。
ほら、たまにいるでしょう? 大した努力も何もしていないのに、好成績を残しちゃう天才型の人。バスケを始める前の黄瀬とか特に」
「……酷いッス」
「今は嫌いじゃないけどね。ちゃんと努力する黄瀬は格好いいと思う」
「……ありがとうッス。でも緑間っちの方が好きなんスよね…?」
「うん。彼は本当に努力をして今の実力を勝ち取っていると思うの。それがすごく好き」
「………それが黄瀬涼太、人生初の本気の告白の答えッスか?」
君は困ったように、でも綺麗に微笑みを浮かべていた。
「私が尽くしてきた人事で待っていた天命は、黄瀬じゃなかったの。
ごめんなさい」
▼【喜怒愛楽】
◇青峰いつも元気で笑顔で過ごす彼女はだれよりも泣き虫だった。
「本当、涙腺がゆるくて困るよ」
「いつも煩ぇからだろ」
「バチ当たってるとでも言いたいわけ? バカ峰」
ボタボタと泣きながらも、彼女は悲しそうな顔はしていなかった。
対する青峰は寝転がって空を見上げたまんま、中学からの付き合いである『彼女』に話しかけた。
「泣くから、笑えるんだろーが」
欠伸を零した青峰は、ごろんと顔を背ける。
彼女は一瞬呆けた顔をしてから満面の笑みを浮かべて、青峰の隣に同じく寝転がった。
青空を見上げていると、涙はおさまっていた。
▼【おまじない】
◇紫原「むっらさきばらー! しゃがんでー!」
「えー、面倒くさいからやだー」
「そんなこと言わないでよ。
あのね、あのね。背がすっごく高い人のつむじにキスできたら、いいことあるんだって!」
「……それ、どこ情報?」
「私がさっき決めたの」
「………」
彼は呆れたような顔をしてから、彼女のつむじにキスを落とした。驚く彼女。紫原はニヤニヤと笑っていた。
「あのねー、背がすっごく低い人のつむじにキスできたら、いいことあるんだってー」
「……ちなみにどこ情報?」
「俺が今決めたの」
「………」
悪戯な笑みを浮かべた紫原に、彼女は「狡い」とだけ呟いた。
▼【恋に、】
◇緑間 †夢主=マネージャー「あれ。緑くん、まだ練習してたの? お疲れ様ー」
「高尾が呼び出されているのだよ」
「ふふ。待ってるんだね」
相変わらず綺麗に、パスッといい音をたてて重たいボールはゴールに吸い込まれた。
「外さないねぇ」
「人事を尽くしているからな」
「……。じゃあ次のシュート外したらアイス奢ってね」
「俺のシュートは落ちないのだよ」
そしてシュートの体制に入った緑くんに私は言った。
ボールが指から離れる少し前に、私は緑くんに言った。
「私、緑くんのこと、大好きだよ」
体育館の中を高く弧を描いたボールは、ガンッとゴールのフレームに当たって外れた。
転がってきたボールを手にとって、真っ赤な顔した彼に笑いかけた。
「アイス、奢ってね。緑くん」
(ふふ。落ちちゃったねぇ)
(………反則、なのだよ)
恋に、落ちた。落ちていた。
▼【無機質なんかに負けるかよ】
◇今吉 †年下彼女設定風邪引いたっちゅーメールが入って、わざわざ見に来てまうワシも「なんや、彼女ちゃんに相当感化されとるやないかい」なんて思てた数分前のワシ。
部屋に入ってデコに携帯乗せてる彼女ちゃんに会うたぁ思わへんやろ?
そんなんサトリとか言われとるワシでも流石に読み取れんわ。
「…何してるん?」
「あー…、今吉先輩だー」
「無理せんでええ、無理せんでええから寝とき。
で、自分、何で携帯なんか乗せとんねん」
「今吉先輩、知ってますかー? 携帯って掌と同じぐらいの重さなんですよー?」
そんなん知らんわ。ベッドの横に座って呆れとったら、ワシの彼女ちゃんはにこにこと笑っとった。
「先輩になでなでしてもらってるみたいなんです」
「……。なぁ」
「はい」
「ほんまもんが目の前におるのに、そりゃないで?」
(じゃあ携帯はお預けしまーす)
(ん、ええ子やな)
▼【160cmの人類最強】
◇兵長「兵長ー、お部屋のお掃除終わりました。チェックお願いします」
「あぁ…。……そこ、汚れている」
「あ、そこは手が届かなくって、兵長――」
「………」
「エ、エレンくん呼んできますねー!」
「おい」
「は、はい…」
「躾がなってねぇようだな」
どうやら私は随分と生き急いでしまったみたいです。
(ううう体中痛い…悪気はなかったんですよぉ…)
(口答えするな)