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▼【帰還するための出発】

◇兵長

「『いってらっしゃい』は言いませんよ」
「随分と冷たいもんだな」
「……だって…本当に『逝って』しまうかも知れないじゃないですか。
 だから言いません。…言わないで下さいね」

では、君に送る言葉は

「必ず、生きて帰る。『またな』」
「――えぇ…、『また』」


(出発前から君の帰りを待ちわびる)

▼【君の願いを届けよう2】

◇兵長(+エレン)

「あれ? エレンくん、何でそんなに上に飾っちゃうんです?
 そういえば皆さんも。下が淋しいですよー?」
「だって下に飾るとみなさんに見られちゃうじゃないですか」
「盲点だった! 私、そんな上に飾れないですー!」
「……盲点だった」
「へ、兵長!? 兵長はなんて書いたんですか?」
「エレンくん生き急いでますよ! でも私も見たいです!」
「お前ら煩い。躾けるぞ」
「じゃあ見せてくださいよ〜。大人しくなりますよ〜?」
「お前だけには絶対見せない」


(他の奴らも見るということを失念していた)
(こんな、気恥ずかしい願いを、こいつらに見せるわけにはいかないだろう)

▼【君の願いを届けよう】 

◇兵長

「これはなんだ?」
「あ、兵長も書きます? 今日は七夕っていって1年に1回王子様とお姫様が会える日なんです」
「それでこの四角い紙は?」
「短冊に願いを書いて飾ると、その2人が叶えてくれるんですって」
「………自分の願いも叶えられねぇ奴が、会ったこともねぇ他人の願いを叶えられるとは思わねぇがな」
「ふふ。兵長らしいですね〜。
 でも、それでもいいんですよー。願いをこうやって文字や言葉にすることが大切なんですから」

口にしないと願いは叶わないから


(…俺も書く)
(はーい。書き終わったら一緒に飾りに行きましょー)

▼【青空】

◇兵長?

「へいちょー、立体起動装置の使用許可、出してくださーい」
「ああ。構わない。使用理由はなんだ? 訓練か?」
「空が青いんです」
「あ?」

窓際で微笑む彼女の先、窓から見えた四角い空は透き通った青空だった。

「空が青いと、飛びたくなるんです。空に」
「………使用許可書にはそれらしいことを書いておけよ」
「はーい!」


(自由の翼を背負って。飛ぶためにある空に羽ばたいていく)

▼【ことばのかわりに】 

◇エルヴィン

私は待っていることしかできない。
壁の中で守られて、外でどれだけの兵士が巨人に食われていくのかも知らないの。そんな私が、全兵士の命を握っているあなたに何を言えばいいっていうの?

ミケさんも、ハンジさんも、あのリヴァイさんだって。みんなして私の言葉なら何だっていいというけれど。でも、でも。

「じゃあ、一週間ほどで帰る」
「エルヴィン、待って」

いかないで?
そばにいて?
しなないで?
あいしてる?
何を言えばいい?

彼は優しく微笑んでいた。

「待っていてくれ。私は必ず帰るから」
「………………バカ」


(やっと絞り出した悪態に、彼は優しく微笑んでいるばかりだった)

(私の頬に伝う涙は彼の指にとられていった)

▼【潔癖症】

◇リヴァイ

「兵長、そんな言い方しないんですよ」

その日、彼女は彼の乱暴なその口調にくすくすと笑いながら、リヴァイの肩に触れた。

「スカーフ歪んでますよ?」

ある時は、胸元に手をおき、スカーフを直して、はにかみながらリヴァイの顔を覗き込んだ。

「またあとで会いましょう。ご武運を」

またある時は、壁外調査直前にリヴァイを抱きしめ、ふにゃりと頬を緩ませて肩に埋めた。その回された腕は背中に触れていた。


巨人の弱点であるうなじを切り落とすと、大量の返り血がリヴァイの肩に付着した。
刃を振り抜いてから1度鞘に納め、立体起動のガスを吹かして屋根を駆けると、肩の返り血が胸元まで零れていた。
背中の自由の翼は空を駆けるうちに、バタバタと煽られて埃に塗れていた。

「汚ねぇな…」

屋根に着地し、取り出したハンカチで返り血を拭うリヴァイ。
彼女の触れた自身の身体を、巨人の汚らしい血が蹂躙する。
彼女の優しげな体温を、掻き消そうとする。

「チッ…、うぜぇ」

血に塗れたハンカチを捨て、次に現れた巨人に向かってガスを吹かした。

壁の中に残った彼女は彼の帰りを待っている。


(あの綺麗な手が触れたこの場所を、巨人なんかに汚されるだなんて)

▼【ここにはたった2人だけ】 

◇沖田 †見廻組主

ばこんがごんと派手な音を響かせて、その男女は街中を走りまわっていた。

「総悟ぉ!! んなおんな放っておけ!」
「煩いでさぁ、土方コノヤロー。
 今日こそこの女は俺がやりまさぁ」
「いっつも信ちゃんばかりが遊んでもらっているから、アナタにはお礼をしなくちゃ」

「なんでぃ、嫉妬ですかい?」
「………今日こそ、ぶっ殺そう。異三郎風に言うならエリート的にぶっ殺そう」
「いつでも、かかってきなせぇ」
「てめぇらァ、本当、ふざけてんじゃねぇぞ!!」


(土方の声など聞こえない)
(彼らは既に2人の世界に入り込んでいた)

▼【晋助様HAPPY BIRTHDAY】

◇高杉

「高杉さんお誕生日おめでとうございます!
 あの…これを機に『晋助』さんって呼んでもいいですか?」
「クク…、好きに呼べばよかったろうに」
「うぅ、恥ずかしかったんですよぅ…」


(本当におめでとうございます)

▼【一日遅れの七夕】

◇沖田

「昨日、あんだけ曇ってたのに、今日は星空だね。
 織り姫も彦星も裏切っといて、今日は晴れちゃうんだ。最低」
「何いってんですかい。いつだって雲の上は晴れてんですぜ。
 それに、会えないとかいいながら、実は年に何回も会ってんですぜ。そいつら」
「私たちみたいに?」
「そういうこと」


(真選組の貴方と見廻り組の私とで、今晩も手を繋ぐの)

▼【何かの始まり】

◇3Z高杉

「しーんすけくん、そこで何してるの? サボり?」
「……てめぇ、誰だ?」
「もう、やだなぁ。昨日、転校してきた子ですよーぅ、覚えてない?」
「覚えてねぇ」
「ねぇ、教室。いかないの? 遅刻するよ」
「うっせぇ」
「ほら、一緒に行こう! てか、連れてってよ。教室忘れちゃったの私」
「………あァ、わかったから。引っ張んな」


(暇だったから。ただ暇してたから。玩具を見つけた気でいた)

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