「リーマスさん、大変です、リーマスさん!」
これは私の声です。
私はずっと日本に住んでいました。ですがある時、映画ハリーポッターの世界の、さらにリーマスさんの所にいたという…全く訳がわかりませんね。
私も理解が追いついていかない中、既に1ヶ月の時が過ぎていました。
そして今日、さらに訳がわからないことが起こったのです。
「どうしたんだい、リクちゃん?」
「ほ、ホグワーツから新入生歓迎のお手紙が…っ」
「え?」
どうやら私は魔女さんだったらしいのです。
†††
「よし、ダイアゴン横丁に行こう」
「まっ、て下さい、リーマスさん。私、本当にこれ、間違って届いたんじゃ」
「大丈夫、ダンブルドアが間違えるだなんてことはないよ。
ホグワーツはいいところなんだ」
ホグワーツから来たお手紙。
そこには新1年生が必要なもののリストが描かれていて…、2人でそのお手紙を読み終わった時、私はリーマスさんと顔を見合わせました。
そしてリーマスさんは笑顔で私の頭を撫でてから、ぎゅう抱きしめてくれたのです。
「入学おめでとう! よし買い物だ!」
「き、気が早いです、リーマスさん…。入学まではまだまだ時間があるんですよーっ」
私を抱きしめながらくるくるとお部屋で回るリーマスさんは私より嬉しそうです。
リーマスさんは学生の時が、ホグワーツが1番楽しかったといいます。
そこに私も行くことが出来るのが嬉しいみたいです。……なんだか凄く、照れちゃいます。
リーマスさんは私の身体をぱっと離すと、はにかみながらお気に入りのチョコをくれました。
「ごめん、ごめん。はしゃいじゃって。
リクちゃんは魔女の資質があるんだね。ホグワーツでいっぱい勉強しておいで」
「は、はい。頑張ります。えと、あの、お手紙もいっぱい書きますね」
色々とお世話になってるリーマスさん。リーマスさんとお手紙の交換をすることをお約束して、2人でご飯の支度をすることにしました。
お料理の手伝いをしながら、私は期待と不安を抱えます。私はちゃんとホグワーツに行けるのでしょうか。
†††
リーマスさんがとっても嬉しそうです。
教科書が中古になって申し訳ないと謝ってくれましたが、私はふるふると首を左右に振りました。
私はリーマスさんにいっぱい迷惑かけちゃってますし、なるべくならお金がかかることはしたくないんです。
私達は今、両手にいっぱいの荷物をもっていました。
全部、教材ばかりです。教科書や制服。鍋もあります。今はまだ使い方がわからないものも中にはありましたが、きっとどうにかなるでしょう!
そして杖も買いました。もちろんオリバーさんの所で、です。
これは今日のお買い物で、私が1番欲しかったものでした。
私が購入していただいたのは『短めでよくしなる、苺の花が入って素直で握りやすい』。そんな杖でした。
それは私の手になじみ、一降りするとふわっと小さい白い花が舞い上がりました。
それはそれはもう感動ものです。本当に魔法の世界にいるんですね、私!
魔女といえば杖。リーマスさんが杖を降るうのを、実は凄く羨ましい気持ちで見ていたのです。
私は買った杖をスカートのベルトに納めました。
ふふ。ちゃんと魔女になれた気がします。
いやまだまだですけどね! まだ学校にも行ってませんし。
今はお昼でリーマスさんと『漏れ鍋』で軽食を食べていました。
「リーマスさん、今日はありがとうございました。
いっぱい買って頂いてありがとうございます」
「全然いいんだよ。これぐらいしてあげなきゃ。
いつもリクちゃんに何にもしてあげられてないからね」
ぶんぶん私は首を振りました。そんなことなんか全くないのです。何時も私は迷惑ばかりかけて。
表情を暗くした私の頭をリーマスさんはぐしゃりと撫でて、私の隣に山積みにされた荷物を杖で持ち上げました。
「これ、一旦家に置いて来るよ。
また戻ってくるから食べていてね」
「は、はい…。ありがとうございます」
私はもごもごとサンドイッチを頬張りました。
リーマスさんが荷物を杖で持ち上げたまま、漏れ鍋の暖炉で移動していきました。
少しの間ですが、1人でお留守番です。
カウンターにいるトムさんがお話をかけてくれますが、人見知りな私はきょどきょどおどおど。
と、していると私みたいにきょどきょどおどおどしていた人が目に入りました。
その人のことが気になって少し見つめていると、急に彼がくるんと振り返りました。ぱっちりと目が合います。
後ろにも目があるかのようにその仕草に私はびっくり。
目があったのはターバンを巻いた、男の人でした。
あれ。どこかで見覚えがあります。
私が記憶を必死にたどっていると、その男の人が話かけてくれました。
態度に現れていたように声もおどおどとした話し方をする人でした。
「あ、ああ、の、新しい、ホグワーツせ、生ですか?」
「は、はい。今年1年生になります」
私が紹介しようとすると、入口辺りがざわざわと騒がしくなりました。
見ると大きな…私の2倍か3倍ぐらいの身長の人がいました。おっきい人です! その隣に私ぐらいの男の子がいました。どうしても大きな人と対比してしまい、男の子は小さく見えてしまいました。
その男の子も、すぐに沢山の人影に埋もれて見えなくなってしまいました。
「えっと…? 有名人さんでしょうか」
皆さんが男の子に集まり握手などを求めています。やっぱり有名人さんなのでしょうか。というか、またも見たことがあるようなないような…?
「クィレル先生!」
大きな人が私の隣のターバンさんを呼び、近くに来ました。そして男の子も私の近くに来ました。
「ハリー、クィレル先生はホグワーツの先生だよ」
「お会いできて、ど、どんなにう、嬉しいか」
クィレル先生が男の子に握手を求めます。男の子が次に私を見ました。私も挨拶します!
「えっと、初めまして。リクです。
私、今年からホグワーツに通うことになったんです」
「本当? 僕も1年生なんだ!
僕はハリー・ポッター」