アイアンハイドがスリープモードに入っていた。
それを見つけたスピカが興味津々でアイアンハイドに近付いていく。
機械音が零れるアイアンハイド。そのカメラアイは伏せられている。
スピカはゆっくりと、彼のスリープモードを解かないようにアイアンハイドの足に乗った。
ちょこん。
胡座をかいたアイアンハイドの足に乗り、スピカは背をその金属に預けた。
スピカが上を見上げればアイアンハイドの顔が見える。
彼の顔には痛々しい傷も伺えたが、スピカは興味津々のままその傷を優しく撫でた。
(きれい)
戦士の傷痕もスピカには美しくも見えた。戦ったからこその、仲間を守ったその証。
自分にはない、その証達を。
スピカは口元に弧を描きながら、背伸びをし、傷痕に口付けた。唇に伝わるのは冷たい金属の感触。
一抹の寂しさを覚えた彼女は、ふるふると1人で首を左右に振って、目を閉じる。
彼の膝で彼女も昼寝をすることにした。
†††
アイアンハイドが目覚めた時、膝の上で眠る少女を見つけ、少なからず驚いた。
驚いたと同時にスピカに気を向け、集中する。
彼には小さすぎる彼女はいつ潰してしまうかわからず、言ってしまえばあまり触れたくはない存在だった。
スリープモード中に潰さなかったことに安堵しながら、眠っている少女を起こさぬように、また動きを止める。
傷ひとつない白い肌。戦いを知らないスピカ。
それはアイアンハイドには綺麗な存在にうつった。
指先でスピカを起こさないように、傷つけないように触れる。
親指と人差し指さえあれば潰せる小さな身体。
(きれいだな、ほんとうに)
このままふにふにと頬をつついていたら、起きだしたスピカに怒られるだろう。
そうなる前にアイアンハイドは苦笑を零しながら手を離す。
(be fast asleep. ぐっすり眠っている)