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「あなたがクーデリアさん。お会いしたかったです。」

「私もお会いできて嬉しいです。ルチアさん。」

今日、私は念願の革命の乙女こと、クーデリア・藍那・バーンシュタインとの面会を果たすことができた。
ガエリオとカルタ姉様が亡くなって、落ち込んでいた私を勇気付けてくれたのは、私とそれほど年の変わらない少女が成し遂げた数々の武勇だった。

私がイシュー家の代表として、カルタ姉様の跡を継ごうと思ったのも、自らの意思で道を切り開いていったクーデリアさんのように変わりたいと思ったからだ。
知れば知るほど、彼女のやろうとしていることに興味が出てきて、私は自分の資産を使った融資を彼女に申し出た。

「この度は、我が社への融資本当にありがとうございます。お預かりした資金は、大切に使わせて頂きます。」

「いえ、クーデリアさんに役立てて頂けるなら嬉しいです。
あの…もし、よろしければなのですが、その資金を孤児院に多く当てていただくことはできませんか?」

「ええ、それはかまいませんが。…何か理由でもあるのですか?」

「…最近、大切な人を亡くして、気づいたんです。
大事な人を亡くしてしまう、喪失感を今までの私は知らなかったし、知ろうとも思わなかった。でも、これからはそんな思いを感じている子供達の支えに少しでもなれたらと思うんです。」

「…そうなのですか。それはお気の毒に。
…私も先の争いで大切な人を亡くしました。実はこの社名の由来はその人から頂いているんです。」

そっと目を伏せたクーデリアさんは、私にその社名の由来となった人のことを静かに話してくれた。

「そう、だったんですね。知りませんでした。
クーデリアさんにも、そんなことが…。」

「私の周りにも大切な人を亡くした方は大勢います。…今の時代、それは珍しいことではないのかもしれません。
だからこそ、私は私の出来ることを成さなければと思います。」

「そうですね。私も私に出来ることをお手伝いさせてください。」

それから私達は、たくさんの事を話し合った。
火星のこと、仕事のこと、これからの世界について。
腹の探り合いの多いセブンスターズ内では話せないことも、彼女の前ではすらすらと言葉にすることが出来た。

…そうして、どのくらい話していたのだろう。
あっという間に私が帰えらなくてはいけない時間となった。
別れ際、別れを惜しむ私に、クーデリアさんは思いついたかのように、ある提案をした。

「そうだ、ルチアさん。実は今度ハーフメタル採掘現場の視察があるんです。もし、よろしれけば来て頂けませんか?」

「ぜひ、喜んで。」

次の約束を交わした後、私は彼女と別れた。
クーデリアさんは私の思った通りの人で、今日ここに来て、彼女に会えて良かったと、そう思った。