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「地球外縁軌道統制統合艦隊を組織改編し、アーブラウの件で難しくなった地球上での活動を再編各経済圏との新たな関係を構築した手腕、見事だな。ファリド家当主、マクギリス・ファリド新司令。」

義父が失脚し、ファリド家の当主となった私は、セブンスターズの当主が集うこの会に参加することとなった。
勿論、イシュー家の当主になったルチアも例外ではない。

「いえ、これも皆様方のご指導の賜物です。」

「いやいや、地球外縁軌道統制統合艦隊をもうお飾りなどと呼べませんな。」

その言葉に、ルチアの顔が一瞬曇った。
彼女は何かを言いかけようとするが、思案した後に、口を噤んでしまう。
残念ながら、新参者であるルチアの発言力は強くはない。ここで余計な火種を生むくらいならば、自らが引くことを選んだのだろう。
彼女を傷つけないように言葉を選びながら返答をする。

「私のこれまでの仕事は前任者であるカルタ・イシューの遺志を継いだにすぎません。それに私は過去に大きな問題を抱えています。」

「ん?問題?」

「監査局時代、私の査察により火星支部から膨大な量の汚職が発覚しました。
しかしそれにより火星支部は弱体化、その管理区域は現在海賊組織などの跳梁により無法地帯と化している。正義を執行したからこその副産物とはいえ、これは私のまいた種、私にその清算をさせていただきたいのです。
我が地球外縁軌道統制統合艦隊が火星区域へ干渉することを許可いただければと・・・。」

「っ・・・!それは!エリオン公のアリアンロッド艦隊の職域を侵す行為だ!
圏外圏の治安を守るのはアリアンロッドの仕事ではないのですか!」

私の発言に、即座に噛み付くのは、クジャン家の当主であるイオク・クジャン。
ラスタル派である彼からしてみれば、私の提案は面白くないのは確かであるが、こうも感情を露わにするとは。
どうやら彼はあまり駆け引きが得意ではないらしい。

「はははっ、いや、いいではないですか、若者たちが血気盛んなのは。
…イシュー公、一つ、君に質問がある。
本来地球外縁軌道統制統合艦隊はイシュー家直轄の組織のはず。カルタ・イシューの跡を継いだ君が受け継ぐのが正当なはずではないかね?」

「恥ずかしながら、私にはまだ実践の経験がありません。
机上の空論を語ることしかできない司令官では、兵もついてきませんし、それこそお飾りだと言われかねません。
それよりは、兵の信頼も厚く、カルタ・イシューと旧知の仲である彼にお任せする方が適任かと思いました。何か問題がありましたでしょうか?」

「なるほど。いや、何も問題はない。
…先ほどの件だが、クジャン公。
我らギャラルホルンは世界の秩序を守るためにある。そのためならば誰がなど小さな問題にすぎない。我々に必要なのは秩序を維持するための力なのだからな。」



「ラスタル様!」

「待たせたな、ジュリエッタ。」

待ちわびていたという顔でこちらを見つめる金髪の少女に声をかけると、彼女は華麗に私たちの元まで飛び降りてみせた。

「どうでした?とはヤボな質問でしたね。イオク様の顔を見れば全て分かります。」

「っ!このサル何を…!」

イオクとジュリエッタのじゃれあいを横目に、私は話を進める。

「マクギリスは地球外縁軌道統制統合艦隊を圏外圏で活動させるきっかけを探していた。火星を自らの拠点としその足掛かりを作ろうというのだろう。」

「ラスタル様、そこまで承知していながら…。」

「私はギャラルホルン最大最強を誇る月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの司令だぞ。受けて立つさ。真っ向からな。」

「それにしても、ルチア・イシューもマクギリスの一味なのでしょうか?」

「さあな、まだわからん。ただの世間知らずのお嬢様だと思っていたが、馬鹿ではないようだ。
地球外縁軌道統制統合艦隊の件も、考えなしにマクギリスに譲渡したと思っていたが…。
これからはルチア・イシューの動向にも目を光らせてくれ。」

「「お任せください、ラスタル様!」」

マクギリス達の動向は気にはなるが、ひとまず、目を輝かせながら、揃って返事をする若者二人に任せてみるとしよう。
マクギリスがどう足掻こうと、最後に笑うのはこの私なのだから。