1


鳥はいいね、自由に空を飛べて。
あの限りなく広がる空を何の制限もなく飛べたらどんなに気持ちいいんだろう。

…ねぇ、リボーン…いつか、私も……



−−−パチリ


ゆっくり目を開くといつもと変わらない真っ白な天井が目の前に広がり、先ほどの言葉が夢であったことを悟る。
いいえ…夢、ではなく、懐かしい思い出と言った方が正しいのかしら…。
それにしても随分と懐かしい記憶…もう何年もずっと会っていない、私の初恋の人。
黒いスーツを嫌味なく着こなし、黒のボルサーノをいつも被って、常に大人の余裕を持っていた。
精神的にも大人な男性だった彼に幼い私はすぐに熱をあげてしまって、その心に気づいた父に引き離されてしまったけれど、彼はお元気にされているのかしら。
今になってはわからないけれど、世界最強のヒットマンである彼なら元気でやっているに違いない。
ふぅ、と一つ大きく息を吐き出すと、トントン、とドアを叩かれる音がして小さく自嘲した。

…あぁ、また、変わらない一日が始まる。

はい、と返事を返しながら私はすぐにベッドから起き上がりいつもの笑顔を浮かべた。

- 1 -

*前次#


ページ:

top
ALICE+