事件の中心



「…何、これ」

「さあな。…ただ、きな臭くはあるな」



バーソロミュー・クマは案外簡単に倒すことができた。…いや、実際に倒したのはもどき、だけど。
機械でできた体。単調的な戦い方。…そして、クマの能力であろうニキュニキュの能力を使わないこと。
全てが本物でないことを教えてくれるが、これが一体何なのかは教えてくれない。
ローが言うように政府が裏で何かしていることは確かなようだが。
その機械の塊を一瞥して私たちは自分たちの船に戻ろうとした。…そんな時。



「号外ー!!号ー外!!!」



ばらまかれている新聞。ひらり、と舞い落ちていく新聞を一枚拾うとその見出しに思わず力が入るのがわかった。
ローも同じようで、冷や汗をかきながらも凶悪な笑みを浮かべている。

―――ポートガス・エースが処刑される。

そして七武海召集…つまり、白ひげと海軍の戦争が起こるということを意味する。
どちらが勝とうとも時代が動くことは間違いない。
そんな節目が近づいていることに私は身震いした。
…それが恐れなのか、喜びなのかはわからないが。



「ロー、」

「変更だ。しばらくはシャボンディ諸島に滞在する」



こんな面白いこと、間近で見ないわけにはいかないだろ?

そう悪い顔で笑うローにそうだね、と苦笑しながら頷き返す。
…ペンギンは「また悪い癖が出た」と呆れながらため息をついていたが。



「…あ、シャボンディ諸島に残る海賊は多いみたい」

「まぁそうだろうな」



とりあえず新世界に向けて準備しておくか。

そう笑ったローにみんなが「ついていきます、キャプテンー!」とみんながハートを飛ばしたのはいうまでもない。



―――――……
―――……
――…


数日後……いよいよポートガス・D・エースの処刑日当日。

ローをはじめ、他にも何隻もの船が事件の中心であるマリンフォードの近くまで船を寄せていた。
白ひげの出現、麦わらの出現…ポートガス・D・エースの出生の秘密。
それらが事態を急速に変化させていく。
隣を見やるといつもなら不敵な笑みを浮かべているローも今は真剣な表情で島を見つめている。

そして、ついにポートガス・D・エースが麦わらによって救出された。

エースを逃がすため、そして仲間を…家族を逃がすため、白ひげ一人が島に残る。
…しかし、その心意気空しく、エースは赤犬によって命を絶たれてしまった。
その時のルフィの叫びに、#name#は悲しげに目を伏せた。
自分の兄が目の前で殺されてしまうなんて……神様は残酷だ。

それに、黒ひげの出現。

赤犬はルフィまでも殺そうと執拗にジンベエを追いかけていた。
怪我のひどい麦わら。…このままじゃ、死んでしまう。

ふいに動き出したローに「ロー?」と呼びかけた。



「行くぞ」

「え?行くってどこに、」

「麦わらを助ける」

「え!?…っアイアイ!」



みんなもローの指示に従って、船を動かし始める。
本当なら怖い。…戦争の真っただ中に行くということは、自分たちも命をかけるということ。
それでも行く。だって、ローが行くというのだから。
ローがいるなら、絶対に大丈夫だから。

潜水してゆっくり進めていき、中心部に入るとすぐに船をあげた。



「麦わら屋をこっちへ乗せろ!」

「あぁ!?てめぇ誰だ小僧!!」

「麦わら屋とはいずれは敵だが、悪縁も縁。こんなところで死なれてもつまらねェ!
そいつをここから逃がす!!一旦オレに預けろ!――オレは医者だ!!」

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