痛快なストーリー
―――こんなことってある?
そう姫は腹を抱えて笑いたくなった。
人魚、そして取り返しにきた麦わら、…天竜人を殴る事件。
どこまでも痛快!
こんな人間もいるのだと姫は嬉しそうに笑った。
騒動がおき、レイリーが出てきたときはローもキッドも目を丸くしたが、いいものが見れたと満足そうにローは笑った。
海軍が周りを囲んでいた、とローが言っていたことからもしかしたら海軍はレイリーが捕まっていたことを知っていたのではないか、と姫は一瞬思ったが、キッドの挑発に思考の糸は途切れた。
「ロー、」
「表の掃除に行ってくる。お前ら後でこい」
「アイアイ、キャプテン!」
キッドの後に出ていったルフィとローを見送りながら姫はため息をつく。
また厄介ごとに突っ込んで行ってる気がする、と。
奴隷になるはずだった人たちが麦わらの一味に感謝の気持ちを伝えているのを聞くと、姫は何だか少し麦わらの一味たちが好きになりそうだった。
あんなに友達思いの海賊は今までいただろうか。
いい人達だ、と姫は密かに笑う。
ゆっくり歩いて、表に出てみれば海軍に囲まれていたようだが、キャプテン3人が滅茶苦茶にした後だったようでバラバラになっていた。
あーあー、とシャチが呟くのを聞きながら私も小さく苦笑したのだった。
「何だそりゃあ麦わら屋……締まらねぇなぁ…!」
「そうか?」
何故か小さくなっているルフィに姫は密かにかわいい、と洩らしたが何故かローとキッドはそれを聞き逃さなかった。
ぎろり、とルフィを同時に睨んだが何も気にしていないルフィは「なんだ?」と首を傾げていた。
「姫、ベポ、しばらく奴らの相手してろ」
「アイ!…あれ、キャプテンどこ行くの?」
襲ってくる海軍をのばしているとローは巨人族の奴隷に声をかけた。
どうやら元海賊らしい。
ローの能力で首輪を外すと私たちは船に向かうために進みだす。
時々海軍やら賞金稼ぎやらと会ったけどまぁそんなの敵じゃない。
私やベポが攻撃すればすぐに倒れていく程度の奴らだ。
「ねぇ、ロー!」
「どうした」
「…何か、変…同じ人がいっぱいいる」
「同じ人?誰だ」
「七武海の、バーソロミュー・クマ」
「……まさか」
七武海がここに?
とローが眉をひそめていると前から爆発音が聞こえてくる。
よく見てみれば先にどこかに行ってたユースタスさん。
そして…バーソロミュー・クマ。
ここを通らなければ新世界に行くことはできない。
…これは通るべき試練というやつかな。
小さく息をついて、前を見据えればバーソロミュー・クマが私たちの名前を呼ぶ。
「オレたちの名前を知ってるのか…!」
「ロー、黄猿が来てるみたい。…急がなきゃ」
「あぁ。悪いが大将なんてぶつかりたくねぇんで…そこをどいてもらう…バーソロミュー・クマ…!」
ローが能力を発動すると同時に私はバーソロミュー・クマに水の弓で射抜く。
―――ここは、負けられない。
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