君と別れた日
「ごめんね、ロー」
桜が儚く舞い散る季節、君はそう言って桜のように笑った。
それは何に対する謝罪か。
普段は馬鹿みたいに華やかに笑うくせに、何故今日に限ってこんなにも悲しそうに笑うのか。
お前らしくねぇ、とか、色々と言いたいことが山程浮かんだが、オレは綺麗すぎる笑顔に声を出すことができなかった。
ーーー姫。
そう彼女の名前だけを呼べば、彼女の笑みに悲しみの色が濃くなる。
「…今までありがとう」
さようなら。
そう一言だけ呟いて、彼女の姿は桜と共に消えたのだった。
君と別れた日
(桜が咲くたびに思い出す君の笑顔)
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