誰と出る、なんて



あれから団決めをしてクラスは2つに別れた。
赤組と白組に…因みに姫は何かの悪戯のようにエースとロー、ロビンと一緒の組だ。

今日はすぐ近くまで迫った体育祭に向けて組別に別れてリレーなどの話し合いをすることになった。




「やっぱり姫様がいらっしゃるんだもの!アンカーは姫様よねっ」

「姫様お願いいたしますわ…!」

「…期待に添えられるように頑張るね」

『(あぁお美しい…)』




頬を染めて俯く彼女達に姫は首を傾げるとエースが無邪気な笑顔を浮かべて姫の隣に座る。
…実はエースも先ほどまで女の子達に囲まれて困っていたのだ。
姫の隣にくると周りにいた女の子達も諦めたように溜め息を吐いた。姫様じゃ勝ち目はない、と。

すると団長である男子が少しテンション高めに「男女混合二人三脚決めるぞー!」と言った。
…と、同時にみんな一斉に誰かに声をかけ始める。

もちろん、面倒くさそうにしていたローもたくさんの女の子に迫られていた。

そんな様子を見ながらエースは慌てて姫に何が起こっているのか聞く。




「なぁ姫、一体何なんだ!?」

「競技の中にね、男女混合の二人三脚があって、その相手は自分の好きな人でいいの。
決まらない人は出ない、って選択肢もあるんだけど…」

「姫はもう決まったか!?」

「…?ううん、まだ…」

「ならっ、オレと…」

「オレとはどうだ?」




エースが姫に一緒に出てほしい、と言い掛けた時、低い静かな声が遮る。
その声に視線を向ければ先ほどまでたくさんの女の子達に囲まれていたローの姿が。

ロビンもたくさんの男子に囲まれていたがそれを無視して姫を見つめている。




「私…?」

「あぁ」

「…えっと……」




姫は困ったように眉を下げてエースを見つめる。

先に言ってくれたのはエースだ。
なら、エースを優先すべき。…だが、折角声をかけてくれたのを簡単に無下にするのは胸が痛む。

しかし、一緒に出られるのは一人だけ。

姫はぐっと決心してしっかりローを見上げた。




「ごめんなさい…エースが先に言ってくれたから……
私、エースと出るね」

「…成る程な。早い者勝ち、か?
なら……CPRはどうだ?」

「なっ…!」

「えっ!?や、ダメだよっ!あれはカップル限定で…!」

「ふっ…そうだったな」




小さく笑ってローは姫の頭を優しく撫で、そのまま教室を出て行ってしまった。

…そっと撫でられた場所を押さえた姫をエースが横目で見ながら。

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