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ツナたちと同じクラスになれたから教室で自己紹介して、ただいま、応接室前。
しかも確実に中学校のときより豪華になったドアの前で。
恭弥、怒ってるかな…?朝、言葉をスルーしてしまったし……そのことはちゃんと謝らないと!
やっぱりどんなに急いでいても人の話は最後まで聞かないといけないものね。うん、謝ろう!
そうしっかりと心に決めて意を決し、トントン、とノックする。
「入って」
透き通るような恭弥の声が聞こえてきて私は失礼します、と言いながらドアを開ける。
…なんだか中学の応接室とは違うから変に緊張してしまう。
緊張を表すかのごとく高鳴る鼓動を聞きながら中に入れば…嫌でも目に入る豪華なつくり。
絶対高校に入ってさらに恭弥の地位があがってる気がする…!
少し視線をずらせば恭弥の大きな机と椅子があって、恭弥はそこにゆったりと腰掛けていた。
―――すごーく笑っているのに目に怒りを湛えながら。
「やぁ、美瑠。さっきはよくも僕を無視してくれたね?」
「…ごめん。怒ってる?」
「まさか。喜んでるよ」
「え…?」
喜んで、る?
予想外の言葉に目が自然と点になる。
あまりにも恭弥の言葉と表情が矛盾しすぎていて、少しだけ混乱した。
恭弥は笑っているけど、でも雰囲気は怒気を含んでいる。…けど、喜んでいる?
どういうことだろう、と首を傾げると恭弥は小さく笑って私に近づいてきた。
…あ、あの…恭弥、さん?近づくたびに怒りオーラが強くなっていってるんですけど…!?
思わず顔を引きつらせて、本能的に恭弥から少しずつ離れるように後ずさりする。
「きょ、恭弥…?」
「だってこれで……美瑠にお仕置きができるでしょ?」
「…!」
やっぱり 怒 っ て る ! !
何このフラグ!死のフラグなの!?お仕置きって何―!
も、もしかしてアレ…?目の前に積まれているあの書類処理じゃないよね…!?
それ無理!一日じゃ終わらない!ていうかなんであんなに積まれてるの!?
わざと!?わざとなの!?そ、そんなに無視したこと根に持ってるの恭弥…!
じりじりと獲物を追い詰めるかのごとく恭弥が迫ってくるから私も一歩ずつ下がっていく。
う、うわぁ…恭弥のあの嬉しそうな顔…!本物のSだ。捕獲者。
いくら応接室が広くてもやっぱり有限の面積には変わりなく、当然壁というものがいつか存在するわけで。
一歩、また一歩下がった瞬間…背中に感じる、冷たい感覚。
あぁもう…追い詰められてしまった。恭弥の笑顔が本当、眩しい。
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