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どうして私はすぐに帰らなかったんだろう、と今更ながら後悔した。
…そうすればあんなところを見なくて済んだのに……
ずきずきと痛みに悲鳴をあげる心に自然と溢れてきてしまう涙に私は誤魔化すように教室まで走った。
最初は恭弥が無事に帰ってくるのを遠くから確認するだけでよかった。
応接室に戻ったのを確認して、帰るのを見届けてから帰ろうって、思ってた。
でも歌愛ちゃんと一緒に帰っているところを見たら、実際辛くて。
少し前までは恭弥の隣を歩いていたのは私だったのに…なんて考えてしまったことに自己嫌悪。
遠い二人の背中を見つめていれば、歩いていた恭弥が立ち止まって……
「…っ!!」
キス、していたんだ。どちらからかはわからなかったけど、間違いなく。
気づいていたら私は教室へと走り出していて、涙があふれていた。
恭弥がキスしていた。…私以外の人と。
その事実がもう彼女でないのにすごく辛かったのだ。…歌愛ちゃんが今の彼女だったら当たり前のことだと頭ではわかっていたくせに。
恭弥、恭弥、恭弥…なんど恭弥の名前を呼んでも辛くなるばかり。
―――少し前までは私の安定剤のようなものだったのに……
―――あんな場面をみて、今更恭弥のことを諦めることは不可能だって、気づくなんて……!
好きだよ、大好き…っすき、なの…!!
恭弥に彼女ができたから、簡単に諦めることなんてできない…っ!
こんなにもまだ、好きなのに…っ
恭弥が好きで、でもそんなの今更で、頭の中が混乱して、どうしようもなくなる。
ただ、涙だけが止まらなくて私は必死で教室に駆け込んだ。
「…っ!?美瑠ちゃん…!?」
「……っ、つ、な…っ?」
「ど、どうしたの美瑠ちゃん!?」
補習の課題を残ってさせられていたんだろう。
教室には勉強道具を広げていたツナだけが残っていて、ツナは私が泣いていることに驚きながらも心配そうな顔をして駆け寄ってくれた。
つな、と小さい声で名前を呼べばツナは自分の痛みのように辛そうに眉を顰めた。
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