6.1



今日は側にいて、と言われて少し照れながらもこくり、と頷き応接室にとどまることにした。
恭弥は少し穏やかに微笑むといつものように自分の机に向かい、風紀の仕事を始めたので私はかばんから本を出してそれを黙々と読む。
授業は確かに出たほうがいいのだろうけれど、恭弥の力で私の出席は確保されているので出席日数の心配はしていない。
勉強は…まぁ中学校レベルなら自力で何とかなるものだ。
静かに本を読みながら時々ふとした瞬間に恭弥の方に視線を向けてみる。

――うん、やっぱり贔屓目なしにかっこいい。

小さいときから整った顔をしているな、とは思っていたけれどこんなにかっこよく成長するとは思っていなかった。
一度だけ恭弥のお母さんに会ったことがあるけれど、やっぱりお母さんも美人だったからその遺伝子なんだろうな、なんて勝手な想像をする。

正直、私が恭弥と幼馴染だなんてほかの人には信じられないことだろうし。

そんなことをつらつらと考えながらぼぉっと恭弥の顔を見すぎてしまったのか、顔をあげた恭弥とばっちり目が合ってしまう。
あ、と思ったがそらすこともできず、そのままじぃっと見つめてしまう。
すると何故か恭弥の方がすぐに目をそらして「何?」と聞いてきたからおや、と思う。

だって恭弥の耳少し赤いし…珍しく照れさせたかな?

今日の恭弥はなんだか可愛いなーなんてバレたら咬み殺されそうなことを考えながらゆるゆると首を振った。


- 16 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+