5.4
「どうしてそこの草食動物と一緒に遅刻してきたんだい?姫」
「委員長!!」
「ひっ、雲雀さん!!」
自分の愛用しているトンファーを片手に笑顔を浮かべながら現れた恭弥に委員の人とツナが驚きの声をあげる。
あぁ、現れてしまった…もしかしたら応接室で高みの見物をしていて、私が捕まっていたから降りてきたのかもしれない。
恭弥が不機嫌なのに笑顔を浮かべているときは、決まって怒っているとき。
そして朝からこの様子だと…ちょっとまずい。
久しぶりに私を獲物のように見る恭弥の目に少し心が重くなりながらもいざというときツナが逃げられるように少し視線をずらす。
…うん、大丈夫。あの隙間からいけばツナを逃がしてあげることができる。
逃げ道を確保しながら恭弥に視線を戻し、恭弥の問いに素直に答えることにした。こういうとき、嘘をつくのは得策ではない。
「たまたま、一緒になっただけ」
「ふぅん…。まぁいいさ」
ぐいっと恭弥は私の手首を掴んで自分に引き寄せると私の耳元で「応接室行くよ」と囁かれる。
私の返事も聞かないまま恭弥は掴んでいる手首を引っ張って応接室へと足を向けたから、心配そうにしているツナに口パクで「大丈夫」と伝えると、オロオロしていたツナが心配そうに眉をハの字にするのが見えた。
そんな優しげな彼に苦笑しながら私は応接室へと連れていかれてドアを閉めたとたんにぎゅうっと抱きしめられる。
少し苦しいぐらいだけれど、どこか不安そうな恭弥に離れてとは言い出せず、とりあえず頭を撫でてみる。
「…姫、」
「ん?」
「姫」
ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる恭弥にどうしたのだろう、と思ったがどこか可愛く思えてきて何も言わずに頭を撫で続ける。
恭弥が不安に思うことなんてないはずなのに……
ただ、私の名前を呼んで、何も言うことなく抱きつく恭弥。
どきどきしながらも、しばらくはそのままの状態で私はずっといた。
あなたの不安の理由に気づくことができたなら、未来は変わっていたのかな?
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