6.3
慣れないことを言うとやっぱり自分のペースを乱されるな…
そう僕はため息をついて顔に溜まった熱を取り出そうとしたが、すぐには冷えてくれそうになかった。
側にいるだけで落ち着く、僕の大切な幼馴染。
…幼馴染と思っているのは姫だけだけどね。僕はもう到底そんな風には見ることなんてできない。
僕の大切な…いや、大切だと思える世界唯一の女の子。
感情を表に出すのが苦手で、無表情で誤解されやすいけれど誰よりも回りに気をつかっていて、人の感情には敏感な姫。
本当に不器用な子だと思うけれど、それすら愛おしいと思ってしまうのは僕の贔屓目なのかな、なんて小さく苦笑をもらす。
この関係を一生続けるつもりはないが、関係を断ち切るそのきっかけもない。
最近、沢田綱吉とかいう草食動物が姫の周りをうろちょろしているようだけれど…害はなさそうだ。
もう一度ため息をついて、いつもより速くなっている心臓を正常に戻そうと努力する。
姫が淹れてくれたお茶を飲んでから見回りに行こうかな。…そろそろ給湯室から帰ってきたようだしね。
こんこん、とノックの音と共に愛しい気配がドアの前に感じて、僕は両手が塞がっているであろう姫のためにドアを開けるため椅子から立ち上がったのだった。
「ありがと、恭弥」
ドアをあけると案の定、お盆で両手の塞がった姫が表情を変えることなく立っていた。
恐らくどうやって入ろうか、と迷っていたのだろう、まだ直りきれていない小さな眉間の皺がそれを教えてくれる。
その様子に気づいていない姫にくすりとわからないように笑うとソファーに身体を沈める。
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