6.4
姫も僕の行動の意味を言わなくても察したようにソファーの前にあるテーブルにお盆を置いて温めてある湯飲みに緑茶を注いだ。
途端に広がる緑茶のいい香りに僕の好みに合わせて買ってあるのだろう、と推測する。…買って来たのが草壁とかだったら嫌だけど。
どうぞ、と差し出された湯飲みに手をかけて、一口すすればほのかな緑茶の甘みが口いっぱいに広がる。
「おいしい」
「…うん」
あ、嬉しそう。
もう一口お茶をすすりながら姫の横顔を見つめる。
ほかの人間が見たら変化のない表情だと思うかもしれないけれど、長年一緒の僕ならわかる。
かすかに頬が緩んでいるし、雰囲気も嬉しそうな感じだから喜んでいることくらい。
くすり、と小さくわからないように笑って姫の淹れてくれたお茶を飲み干して立ち上がる。
「…見回り?」
「うん。姫はどうする?」
「なら、教室に戻るよ」
「そう。帰り、迎えにいくね」
こくり、と頷いた姫を見届けて僕は学ランを翻して応接室を出る。
あと少しで迫った姫の誕生日のことを考えながら……
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