8.1



「…今年はどうしようかな」



並盛の風紀を守るため見回りをしながらぼそりと小さく呟く。
もうすぐ姫の誕生日。姫は僕以上に誕生日に執着していないから誕生日が明日だということにまったく気づいていない。まぁ毎年のことだから気にしてないけど。

毎年姫の誕生日は僕の家でお祝いするって決まっている。決めたのはちなみに僕ね。

姫の両親も夜にお祝いするのだが、いつだったか姫の父親が出張でいなくて姫の誕生日のお祝いが当日じゃなくて他の日にした年があった。
母親もそれを説明しておけばよかったんだけど、何も言われずお祝いされなかった(当時はまだ誕生日を楽しみにしていたみたい)ことがショックで哀しそうな顔をしていた姫を何とか元気付けたくて僕の家に呼んで祝ったのがきっかけ。

それから毎年姫の誕生日には僕の家に呼んで誕生日を祝うんだけど、毎年悩むのがプレゼント。

去年は姫が一度だけ「読みたかった…」っていっていた絶版になってどこにも売っていない本を取り寄せたんだっけ。
あの時はプレゼントの中身を見たとたんにめったに驚かない姫がすごくびっくりしていて、「嬉しい!」ってすごく喜んでくれた。

本をあげて喜ぶのは姫くらいだよ、って苦笑したのも覚えている。


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