11.1



授業がやっと終わり、自分のかばんの中に自分の荷物を纏める。

あの約束どおり私は強くなれているのかな…とりあえず頭だけはよくなっている気がするけど……

私に稽古をつけて、って言ったら恭弥にはあっさり「やだ。自分から姫を怪我させる理由を作りたくない」とか言われて断られたから結局恭弥の部下である草壁君に頼み込んで護身術くらいはできるようになった。
まぁ恭弥にこのことがバレたら草壁君が確実に咬み殺されるのは目に見えているのでバレないようにしているけど。

(恭弥にバレないようにするのは本当に大変なんだけどね)



「姫!」

「…ツナ」



荷物を纏め終わると同時にハニーブラウンの髪を持つ彼、沢田綱吉に呼び止められる。
どうしたの?と首を傾げると「一緒に帰ろう」とのこと。
お誘いは嬉しいが、恭弥がこっちに迎えに来てくれる約束をすでにしてしまっている。
ごめん、と謝ろうとした瞬間「姫」という低い声が聞こえてすぐに振り返った。



「…恭弥」

「雲雀さん!」

「帰るよ」

「うん。…ごめん、ツナ。恭弥と帰るって先に約束してて…」

「あ、あぁ!そっか!こちらこそごめんね!」

「ううん。また、今度一緒に「姫、早く」…ごめん。ばいばい」



バイバイ、と少し苦笑をしながら手を振ってくれたツナに手を振り返して恭弥に駆け寄る。
少しだけ…いや、かなり不機嫌な恭弥は腕を組んで壁にもたれかかっている身体を起こして私の手をぐいっとひっぱって何故か手を繋ぐとそのまま歩き出してしまう。


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