11.2



いつもより歩調が速いから追いつくだけでも大変。…なんでこんなに不機嫌なの?

見回り中に何か気に食わないことでもあったのかな、と予想を立てながら必死に足を動かす。
けど、恭弥の歩調は遅くなるどころかだんだん速くなっていくばかりでだんだんついていくのもいっぱいいっぱいになってしまった。
そうなると自然と引っ張られる形になってしまい、引っ張られる腕が痛かった。



「…恭弥」

「………」

「恭弥、痛い」

「………あぁ」



そこでようやく気づいたように歩調を緩めて、私の腕を掴む握力も緩めてくれた。
どうしたのだろう、と自分の腕の痛さより恭弥の心配のほうが強くなってしまう。
何かあったの?と聞きたかったが言いたくなかったら恭弥は言わないし、言いたくなったら言ってくれるのをわかっているからじっと恭弥の言葉を待つ。
恭弥は未だ私と目を合わせてくれないが言葉を選んでいるように恭弥は沈黙を保っていた。

それでも私からは何も言わない。ただ、待つだけ。



「…姫は、……もう少し、自覚した方がいいよ」

「……?何を?」

「…っ、」



ぐいり、と強めに引き寄せられてその時初めて恭弥と目が合う。
…激しい怒りと、悲しみを必死に抑えようとする目がそこにあって、思わず私は息を飲んだ。

どうしたの、なんていうことはできない。
どこまでも激しい感情を飲み込もうとしている恭弥を見たのは久しぶりだった。





―――ねぇ、恭弥。

あなたはあの時どんな思いで私を抱きしめたの?
もう少し早くあなたの気持ちに気づくことができたら回り道なんてしなくてよかったのかな。


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