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簡単すぎる。
聖は帰る途中にふと感じ、不安を感じる。
でも現にこうして任務が終了して帰ろうとしている。
「(初めて…私がアクマの破壊をしてレベル3がいなかったなんて…)」
なにか起こらなければいいけど……
そう心配するが思い過ごしであってほしいと願った。
しかし聖の予感は無情にも的中していた。
「誰だ」
鋭く警戒した神田の声。
聖もひしひしと感じていた神田だけに向けられていた殺気に警戒を強めていた。
「…さすがエクソシスト。少しの殺気だけでも気づいたんですね」
木の陰から現れたのは聖の経験上察するにレベル3。
コンバートしていないが、その徒ならぬ気配にアクマとすぐにわかった。
やっぱりいたのか、と聖は密かに身構えていると隣で神田が小さく舌打ちする。
「アクマか」
神田がイノセンスを発動するとアクマは困ったように笑う。
まるで神田が発動したことを気に留めていないかのように。
「いきなり戦闘ですか。でもあなたには用はありません。
私が用があるのは…聖様、あなたですよ。おわかりですよね?」
人のよさそうな笑みを浮かべるアクマに聖は睨みをきかせる。
聖が纏っている空気がぴりっと張りつめた。
そんな空気を感じ取り、神田は少し目を見開く。
さっきまで穏やかに微笑んでいた少女からこんなにも強い殺気がでていることに少なからず驚いたのだ。
「わかっています。いつものことですから。
だから…いつものように問答無用で破壊するのみです」
聖の鋭い眼光がアクマを射抜き、アクマは殺気を正面から受け止める。
しかし神田が黙っていなかった。
なんといっても相手はレベル3のアクマ。神田ほどの熟練エクソシストでも勝てるかどうかわからない相手だ。
「おいっ!コイツはレベル3だ!新人にどうこうできる相手じゃ…」
「黙れ、エクソシスト。お前はこいつらの相手をしてもらおう」
目の前のアクマがパチンッと指を鳴らすと、どこからかわいてでてきたレベル1のアクマ達。
レベル1が1体ならさほど大した相手ではない。
しかし、数が多ければ雑魚も大きな労力を要する。
一斉に神田に向かって攻撃を仕掛けはじめ、足止めを喰らう神田を心配し、聖は神田のほうへ走ろうとするがぴたっと足をとめた。
「どこにいかれるのです?」
アクマから放たれる強い殺気。…しかし、だから足を止めたのではない。
神田の前で発動できない……ただ、その事実だけが聖の中で引っかかっていた。
「…どこにもいきません。ここは邪魔が多い。場所を変えましょう」
勢いよく走り出した聖について行くようにレベル3のアクマも走り出した。
嬉しそうな笑顔を浮かべながら……
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