その一言が、



忙しい人というのは知っていた。
それを承知で付き合い始めたんだけど……




「…一ヶ月も連絡なしって…」




はたして、これは付き合ってると言えるのか?


そんな疑問が浮かび上がってしまうのは仕方ない気がする。
そんな彼氏…雲雀恭弥は今日もどこかの国で生き生きと仕事をしているのだろう。
ちなみに私は普通の企業に勤める、所謂OLというやつだ。

私もそこそこに忙しいから頻繁に会うこともできないけど、それ以上に忙しい恭弥。
学生のときからそんな感じだったけど…一ヶ月も連絡を取り合わなかったことは一度もない。
大体一週間か二週間に一回電話が急にきて「元気?」と話をするのに。

ここまで連絡がないと逆に生きてるか心配になってくるが、私から連絡したって出ないことがわかってるから連絡しようがない。




「あー…もう」




会いたいよ、恭弥。




ぽつりと呟いた言葉が虚しく一人の部屋に響く。
…もしかして、恭弥に捨てられたのかな。
可愛くもない、無愛想な女に愛想尽きたのかも。
そんなマイナス思考に陥って思いっきりクッションに顔を埋めた。




−−−ピンポーン!



「…誰?」




嫌な考えがぐるぐる回っていると突然の訪問者。
時計を見上げ、小さく眉を顰めるとインターフォンに出る前にドアの穴からその人物を確認する。
酔っ払いとかだったら無視しよ、とか友達が押しかけてきたかな、とか考えながら覗くと、




「……!!」




その人だとわかった瞬間に私の体はすぐに鍵を開けていた。
恭弥!と名前を呼んだ瞬間に強く私の体が抱きしめられる。

少しだけ痩せた恭弥の体にご飯食べてなかったのかな、と胸が締め付けられた。




「…会いたかった…。ずっと、会いたくて仕方なかった…っ」

「……私もだよ」




そう返すと恭弥の肩の力が徐々に抜けて、ほっとしたように小さく息をはいた。
そっと背中を撫でると名前を呼ばれて、恭弥の手が私の頬に触れる。
見つめる目は見つめられる私でさえ恥ずかしくなるくらい優しい目をしていて、愛おしい、と伝えてくれる。
近づいてくる顔にそっと目を伏せると唇が重なる直前に小さな声が聞こえて、私はじんわりと胸が熱くなったのがわかった。



「好きだよ」


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