第三者からみた二人



いやー雲雀さんってあんなにわかりやすいんだな。
何か意外だけど、可愛いって言ったら咬み殺されそうだから言わないけど。



「あ、姫!」



談話で雲雀さんと俺が珍しく話しているとたまたま姫が紅茶をいれにきたのか部屋に入ってきた。
姫も俺らに気づくとちょっと嬉しそうに笑ってこっちに歩いてくる。
ちらり、と雲雀さんを見ると雲雀さんの視線は最早姫にだけしか向いていない。
ちなみに姫も俺を見ながら雲雀さんを気にしている。
けど、そんなことお互い気づいていないから不思議だ。



「珍しいね、ツナも雲雀さんもここにいるなんて」

「うん、まぁお互い偶然なんだけどね。ね、雲雀さん」

「うん」



何でもない風を装っているけれど、どこか落ち着かなくて落ち着かせようとしているのか紅茶に手をつける雲雀さん。

あれ、それさっき「まずい、もう飲まない」とか言ってませんでした?
あぁ、やっぱりカップから少し見える横顔が苦々しい。

でも、姫が見えるくらいまでカップをさげた瞬間、その顔は涼しい顔に戻っていた。
思わずそんな見栄に笑い出しそうになったが必死でこらえる。ぐっじょぶ、自分。



「姫も一緒にお茶しない?」

「やった!ありがとう!」



にっこり笑ってカップを一つ増やすと姫は俺の隣に座った。
…うわぁ、途端に雲雀さんの機嫌が急降下したんだけど。
いやいや、そんなに睨まれても別に俺の隣を選んだのは姫なんだから変わらないですって!
僕の隣に座ってほしかったっていうのを丸出しにしないでくださいよ、全く。

そんなことにもやはり気づかない姫はクッキー焼いたんだよ、と可愛らしい袋に包んだおいしそうなクッキーを差し出した。
バニラエッセンスの仄かな香りがかすめて、思わずおいしそうだね!と言っていた。



「よかったら一緒に食べて」

「うん、いただきます!」

「雲雀さんもどうぞ!」

「うん」



ぱくり、と一口食べればさくり、とした触感とレモンをいれているのか微かにレモンの酸っぱさが広がって文句なしにおいしい。
甘いものを、特に洋菓子を好まない雲雀さんも好きな人が作ったこととお世辞抜きにおいしいこのクッキーに顔が緩んでいた。

俺から先に言うときっと雲雀さんは褒め言葉を言わなくなるから俺はちらり、と雲雀さんをみやっておく。
あんまり自分から言い出さない雲雀さんだから何も言わなくて、俺も何も言わないから姫が不安そうに「どうかな?」と聞いてきたから、もうじれったくなって、今度はがっつり雲雀さんに視線を向けた。
そうするとようやく言い出す気になったようで。



「おいしい」

「…!よかったです」

「うん、本当においしい!」



嬉しそうににっこり笑った姫に俺もようやくおいしいことを言えた。
ありがとう、とやっぱり嬉しそうに言う姫に和んだけれど、小さく苦笑ももらす。

雲雀さんもすごく嬉しそうで、姫に向ける視線は優しい。
姫も雲雀さんに向ける視線は俺に向ける視線とは明らかに違う色をしている。


なのに、この二人といったら全然お互いの気持ちに気づかない。
しかも、この関係から発展しようとお互い踏み出さない。

あぁもう全くじれったい!!

何でさっさと付き合わないんだよ、この二人は!


…なんて、ほのぼのと話している姫と雲雀さんには届かない叫びを心の中であげたのだった。




第三者からみた二人

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