おやすみ



(*可愛いつんでれ女子。苦手な方は注意)










「何で私が…」


そう言いながらもちゃっかり果物やゼリーなど買ってきてる私は絶対に矛盾していると思う。





−−−時を遡ること1時間前。

いつものように教室で友達としゃべっていると荒々しくドアが開かれる。
何事か、と視線を向けるとそこには風紀委員の草壁さんが立っていたので教室中がしんっと静まると同時に「姫さんはいるか?」と言葉を発する。
その瞬間、一斉にクラス中の視線が私に向かったから勘弁して、と思わず呟きそうになった。

草壁さんが言うには風紀委員長、雲雀恭弥が熱を出して療養中だという。
是非、見舞いに行ってほしい、いや行ってください!と必死に頼まれ、思わずわかりました、と了承したのだが……

何で私が行かないといけないの!?


この一言に尽きる。


ぶつぶつ文句いいながら体によさそうな果物やアイスやゼリーや色々買い込んで雲雀の家を訪れる。
家政婦さんがこちらです、と案内してくれて雲雀の部屋まで歩いていくと一際大きな部屋の前で立ち止まった。
恭弥様、と家政婦さんが声をかけると「何」といつもの6割くらい弱々しい声が返ってくる。



「お客様がお見舞いにきております」

「…草壁なら帰せば」

「(うわ、草壁さんへの扱い酷)」

「いえ、姫様がお見えに…」

「すぐ通して」



え、私即答!?
なんてびっくりする暇もなく、家政婦さんに「お入りになってください」と微笑みながら進められてありがとうございます、と返しながら襖を開ける。
相変わらずただっ広い和室にぽつりと一つお布団がしいてあって、そこには真ん丸な黒い頭がのぞいていた。
黒い頭が軽く動いて、こちら側に雲雀の視線が向いたのがわかる。



「…私がお見舞いにきてやったわよ!」

「来てくれて嬉しいよ、姫」

「なっ…!別に来たくて来たわけじゃないわよ!」



嬉しそうに微笑む雲雀に私まで嬉しくなるがそんな顔できなくってとりあえずツンっと横を向く。
可愛くない、とわかっていてもどう反応していいのかわからないから結局こんな感じ。
けれど、雲雀はそんな私に嫌な顔一つせずに、小さく笑うから毒気を抜かれてしまう。



「…はい、これ。お見舞いのフルーツとか。早くこれ食べて元気になりなさいよね」

「ありがと、そういう優しいとこ本当好きだよ」

「…っ!!」



これにどう返せばいいのよ!?

この心の叫びは絶対間違いではないはず。
熱くなる頬に気づかないふりしながら、あっそ、とやっぱり可愛いげのない答え。

あぁもう、もうちょっと可愛く返せないのかな、私…!

いや、可愛くなくてもいい、可愛くなくていいからもっと素直になりたい…できたらこんな苦労してないけど。



「ねぇ姫」

「何?病人なんだから大人しくしてなさいよ!」



ほら、まだ熱あるし、と軽く手をおでこにあてると雲雀が小さく息をついた。
それと同時に冷たくて気持ちいいね、という声が聞こえて本当にきついことが伝わってくる。

…最近無理でもしてたのかな。



「…しばらく、こうしててあげる」

「ありが、とう…姫」



落ち着いてきたのか、雲雀の目が自然と落ちて、眠りについていくのがわかる。
おやすみ、と呟くと雲雀が軽く笑ったような気がした。



おやすみ
(早く元気になってね)

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