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私たちはずっと一緒だった。

恐らく地主同士だった両親が仲がよかったこともある。
幼いころから一緒にいる私たちは、幼馴染といってよかった。



「姫、」

「…恭弥、また…喧嘩?」

「喧嘩じゃない。制裁だよ」

「どっちだって一緒だわ」



読んでいた本を傍に置いて立ち上がると返り血もそのままに帰ってきた恭弥の顔をハンカチで拭いてあげる。
汚れるよ、と言いながらもじっとしている恭弥は嫌ではないのだろう。

この喧嘩っ早くて自称「並盛の秩序」を名乗る雲雀恭弥はずっと一緒にいる”幼馴染”。
自由奔放な人だが、誰よりも強く自分に厳しい人だと私は知っている。

いいよ、と言うと恭弥は毛づくろいした猫のように満足そうに笑うとソファーにとすりと座る。
その隣に座り込むと恭弥は当然かのように私の膝の上に頭を乗っけた。
恭弥、と咎めるように名前を呼んだが、恭弥は構わないとばかりに動く気配がない。
小さくため息をつくことで許容したことを示すと恭弥は本格的に目を瞑って寝始める。

恭弥が寝ることができるのは私と恭弥の両親の前だけ。
それがわかっているからこそ、私は強く「やめて」とは言えない。
できることといえば動かずに寝かせてあげることだけだ。
私は読みかけだった本を再び手に取ると、恭弥の寝息を聞きながら静かに読書を再開したのだった。










僕には所謂”幼馴染”というやつがいる。

小さいころから一緒にいるのが当たり前で、何も言わなくても自分の気持ちをわかってくれる関係に心地よさを感じているのは事実だ。
今日も何も言わなくても僕の心配をし、咎めつつも結局はため息の一つで膝枕を許容してくれる。

―――きっと姫は僕のことをただの”幼馴染”としか思っていないのだろう。


僕は一度もそんな風に見たことないが。




「ふあぁぁ」

「よく寝てたね、恭弥」

「読み終わったの」

「うん。…帰る?」



帰り支度をし始めると帰ると判断したのか、姫も同じように静かに帰り支度を始める。
姫の持っていた荷物を持つと一緒に応接室から出ていく。

姫をバイクで送っていくのも僕の日課。
ぎゅっと自分の腰にしがみつく姫に少しだけ胸を高鳴らせながらも僕はバイクを噴かせたのだった。


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