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今日から高校生。
普通なら新たな生活に心躍るのだろうが、如何せん一緒に入ってきたのは幼馴染である恭弥。
一瞬にして新たな高校の権力を握ったところを(つまりは不良集団を制圧したのだけれども)目撃してしまったため、新生活という実感はない。
校長先生の長い話を聞いた後、新入生オリエンテーションを担任から聞き、早々に帰ることになった。
きっと今頃この学校の応接室を占拠しているだろうと考え、お散歩がてら応接室を探しに歩き回る。
中学の時よりも断然広い敷地に辟易していると誰かの怒鳴り声が聞こえてくる。
もしかして恭弥が、と心配になって声のする方へ歩いていくとどうやら違ったようで、新入生が不良に絡まれているようだった。
今にもカツアゲされそうになっている新入生。
このまま見ないふりすることもできるが、恭弥が治める学校でそんなことを見逃したくなかった。
小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせると勢いよく走り出し……不良にタックルした。
「…っ!!??」
「来て!!」
驚きで反応できていない不良たちの合間を縫って新入生の腕を掴むと私は一気に走り出す。
待て!!と後ろから不良たちの怒鳴り声が聞こえてきたけど、思いっきり走ったので次第に追いつかないと諦めたのか気配は次第に遠くなる。
はぁはぁと息を切らす私とは対照的に助けたはずの彼は全く息切れしていない。
少し恨めしくて顔を上げると初めて新入生の顔を見ることができた。
すっとした顔だち、優しげな琥珀色の瞳。ふわふわとしたハニーブラウンの髪。
…馬鹿にしたような、冷めた表情でさえなければイケメンだと思っただろう。
「別に助けなくてよかったのに。お節介だね、あんた」
「(まさか助けたのに暴言を吐かれるとは…)」
しかも助けた私を非難するという暴言付き。
せっかく勇気を出したのに、無駄だというのだろうか。
…確かに助けてと言われたわけでもないし、お節介だと言われても仕方ない。
しかし、それを口に出すことはないだろう。
ここで腹を立てたとしても馬鹿を見るだけだ。こういう人ほど相手にしない方がいい。
「…あなたが怪我をしなくてよかったです」
「え、」
「では、これで」
これ以上ここにいる必要もない。
私は相手の顔を見ることもなく、その場から離れていく。
少しだけ苦々しい気持ちを抱えながら。
「…まさか、心配されるなんてね…」
悪態をつけばあのお節介な彼女は逆上すると思った。
無駄に正義感のあるやつは自分がいいことをしたはずなのにそれを否定されると苛立つ。
しかし、彼女は怒ることなく、…あまつさえ自分の心配までした。
…不思議な子だ……
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