きっと気づかないうちにあなたしか見えてなかった


*会話のみ





「お願いがあるんだけど」

「断る」

「まだ何も言ってない!!」

「お前が"お願い"なんて言うときは大抵しょうもねぇからな」

「指輪を一緒に買いに行ってほしいの」

「おい」

「ただ一緒に行くだけでいいのよ?買って、とは言ってない」

「一人で行け」

「いやよ!お店の人に"指輪を一人で買いにきた可哀想な人"と思われたくない!私のプライドが許せないわ!」

「んなプライド捨てろ」

「私からプライドを失くしたら美貌しか残らないじゃない」

「…………………。」

「ちょっと、黙るのはやめて。私がスベってるみたい」

「……、…とりあえず何故指輪が必要か理由を言え」

「最近取り巻く男たちが面倒くさいから」

「…あ?」

「彼氏がいないことがどこかからバレたみたい。最近、毎日のように告白されて面倒なの」

「………ほう…」

「だから彼氏からもらったっていう噂を流すの。信憑性あるでしょ?」

「んな面倒なことするなら俺と付き合え」

「………。何ですって?」

「だから俺と、」

「ストップ!!!!!」

「あ゛?」

「何口走ろうとしてるの!?私とリヴァイは幼馴染でしょ!?」

「俺はそう思ったことなんて一度もねぇよ」

「…っ」

「俺にとってお前は…姫は好きな女だ」



真っ直ぐで、強い瞳に姫は何も言えなかった。

ゆっくりと伸びてきたリヴァイの手を逆らうことなく受け入れる。
…逃げねぇのか、と微かに聞こえた声に私は静かに目を閉じる。

そんな私にリヴァイは「…っくそが…」と吐き捨てて、…言葉とは裏腹に優しく口づけた。



きっと気づかないうちにあなたしか見えてなかった

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