1
「風邪引くよ」
「あ。恭弥」
雪、きれいだよね、と薄着なのに嬉しそうに笑う姫に苦笑する。
僕が着ていたマフラーを優しく首に巻いてあげると「温かい」と笑みをこぼした。
「手、赤いよ」
「冷たいもの」
「無邪気に遊ぶ年じゃないだろ?」
「中学生でも雪遊びしたいものよ。恭弥も雪合戦したくない?」
「…………」
確かに。
僕の場合は一方的に当てるだけだが、雪合戦したい。
無言でいる僕にしたり顔の姫。
寒いねーと言いながら雪を丸め始める姫に小さくため息をつきながらも一緒に雪を丸める。
木の棒とか落ちてないかな、と楽しげな姫を見て小さく笑ったのだった。
ーーーピリリリ!
「恭弥、電話」
「…この音は出なくていい」
「もう…この着信音はお母さんでしょう。早く出たら?どうせ次は、」
ーーーみーどりーたなびくー
「ほら、私にかかってきた」
くすり、と笑う姫に僕はむすっとする。
出なくていい、と言うのに姫は律儀に電話に出た。
こんにちは、お母さん。…えぇ、一緒にいます。変わりましょうか?…わかりました、伝えます。ふふ…えぇ、ではまた。
「帰ってこい、だろ?」
「うん。お父様がお帰りみたいよ。話があるって」
「…送る」
「いいよ。早く帰った方がいいんじゃない?」
「…君がちゃんと帰ったか心配になるよりいい」
眉をひそめながら言えば、姫はきょとりとしたが、次第に嬉しそうな笑みを浮かべる。
じゃあお願い、と歩き始める姫の手をそっと握る。
冷たいよ、と伝えれば恭弥も冷たい、と笑った。
幼なじみの僕たちは、いつでも一緒だった。
だから、これからもずっと一緒だと思っていた。
- 1 -
*前次#
ページ:
ALICE+