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あれから数ヶ月…今までにない事態が起きていた。
僕が統括するこの諜報機関はボスである僕がいうのも手前味噌だが、かなり優秀であると自負していた。
裏付けるように今まで探し人を見つけられなかったことはなかったし、情報もいち早く入手している。
−−−なのに。
たった一人の女性を見つけることができないなんて……
あの日…僕を治療してくれたあの子。
医者なんてそう多くはないからすぐに見つけられると思ったのに、全く見つけることができない。
あの子がイタリアに住んでいる形跡すら掴めないなんて……
移住した人間も旅行者まで調べたにも拘わらず見つけられないなんて…一体あの子は何者だったんだ?
その不透明さに苛々しているとプルルルル、と電話音。
一体誰か、といらつくままに受話器をとった。
「誰」
「やぁ、アラウディ。ていうかいきなり“誰”はないだろう」
お前は相変わらずだな、と電話の向こうで楽しそうに笑っているのは、あの子と出会った日に同じようにあのファミリーを潰していたファミリーのボスであるボンゴレT世だ。
まぁこんな奴“ボンゴレT世(プリーモ)”なんて仰々しく呼ばず、ジョットで充分なんだけど。
あの日を境に馴れ馴れしく僕に話してくるジョット。
自警団…いや、今やもう立派なマフィアか。とにかくそんなマフィアに興味はないんだけど、何かしらコレとは意見が合うことが多い。
僕が目障りだと思う腐った政治家に制裁を下したり…認めてはいないけど、協力してあげてもいい、くらいには思うようになった。
「…無駄口叩いてないでさっさと用件をいいなよ、この暇人」
「お前…もっとこう言い方ってものが……はぁ、まぁいいか。
この前の件で話したいことがあるだが、今からこっちに来れないか?」
君みたいに暇人じゃないんだけど、と言いたかったが、予定を見れば珍しく重要な用件は入っていない。
…このタイミングを狙ってかけてきたんじゃないの?この男。
そう疑いそうになったが、この超直感男になら朝飯前なのかもしれない。
小さくため息をつきながら仕方ないね、と返答するとジョットはご機嫌そうに笑った。
もう用はないとばかりに電話を切ると上着を羽織ってここから少し遠いボンゴレの屋敷まで車をとばす。
よく考えてみればあっちが用があるならあっちが僕のところに来るべきじゃない?
…あぁ、もしかしたら僕の本部を知らないだけかもしれないね。教えてないし。
そんなことを考えていればボンゴレの屋敷が見えてきて、いつもの場所に車を止める。
ボンゴレの見張りは僕を一応知ってはいるらしく、軽く頭を下げて僕を見遣っただけだった。
無駄に広い屋敷の中を歩いていき、ジョットの部屋のドアを開ける。
ノックなんてせずに入ったのだが、この部屋の持ち主であるジョットは嫌な顔もせずにっこり笑って僕を受け入れた。
「早かったね」
「…用件は」
せっかちだな、と笑うジョットを無視してソファーに座るとメイドが香りのよい紅茶を淹れてくれた。
それに口をつけると「雲の守護者になってくれないか」というジョットの声。
雲の守護者とはボンゴレファミリーの幹部の中でも大空と呼ばれるジョットを取り囲む守護者の一人だ。
ジョットのことは嫌いではないが、群れる気はない。
嫌だよ、と返せば予想通りだったのかジョットは小さく苦笑しただけだった。
「…あ、そういえばお前、誰かを探してるらしいな」
「………誰から聞いたの、それ」
にやにやと嫌な笑みを浮かべるジョットを睨みつけるがその表情が崩れることはない。
どうせGとかその辺りなんだろうけれど。
お前がそこまで人探しに苦戦するなんて珍しいな、と言われて心の中だけで本当だよ、とため息をつく。
どうしてこんなにも探して見つからないのか逆に興味が湧いてくる。
「もうすぐ見つかると思うぞ」
「…そう」
ジョットの超直感か、それともただの適当な言葉なのか。
判断はできなかったが、僕は紅茶を一気に飲んで席を立ったのだった。
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