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さらりと髪の毛が揺れて、心地よい風が頬を撫でる。
その心地よさに目を開けると、目の前に広がるのは美しい湖と花畑……
あれ…?ここ、どこ…?
すごく綺麗なところだけど…外に出た覚えは……
「クフフ。ここは美瑠の精神内ですよ」
「…!!」
この声と笑い方は…!!
「また会いましたね」
「骸!!」
振り向くとこの前と変わらない骸が立っていた。
怪我もない骸に安心して微笑みかける。
よかった…無事だったんだね……
「クフフフ。そんなに喜ばれると期待しちゃいます」
「あ…ごめんなさい……」
「いいんですよ。美瑠が喜んでくれただけで嬉しいですから。
何か、悩みがあるようでしたからね。僕が来てあげましたよ。
…ま、本当はただ単に、美瑠に会いたかったんですけどね」
クフフ、と茶目っ気たっぷりに笑う骸に私も思わず肩の力が抜ける。
優しい風の吹くこの場所が気持ちよくて、私と骸は木陰に座り込んだ。
「…声がね、出ないの」
「声が?…何故…」
「無理矢理、力を使ったから。対価として声を失っちゃったみたい」
「…それは、」
「骸のせいじゃないよ」
骸が言いかけたことはわかる。
骸が薬を飲ませたことが原因だと思っているんだろう。
でも、違う。あれは私が自分で選択したこと。
だから骸のせいじゃないの。
骸にそっと笑いかけると骸は少しだけ悲しそうに目を細めた。
それでも骸はそれ以上私に謝ることも、感謝することもなかった。
「…でも……でもね。恭弥には知られたくないの。
声が出ないなんて言ったらすごく心配すると思うし、すごく迷惑かけちゃうと思う」
「…雲雀恭弥は迷惑だなんて思わないと思いますけどね」
「そう思わなくても、私が嫌なんだよ。なんか、無理して笑われそうで……」
恭弥は私を守ろうとしてくれた。
そんな私が声を失ったと知ったらきっと自分を責める。
私がいくら「自分で決めたことだから」と言っても、恭弥はそれで納得しないだろう。
恭弥は優しいから、きっと私が笑えば恭弥も一緒に笑ってくれる。
本物の笑顔じゃないのに……
「みんなも優しいから気をつかってくれそうで、嫌なの」
「…では僕の意見ですが……美瑠はもう少し甘えていいと思いますよ」
「甘える…?」
「えぇ。もし僕が雲雀恭弥だったら、美瑠に甘えてほしいですね」
「……」
甘える……それって、どうしたらいいの、かな…?
「クフフ…そろそろお別れの時間のようです」
「あっ…」
意識が浮かぶような…そんな感覚が私を襲う。
夢から覚める時間なんだね。
「また会いましょう」
「うん。私、また骸と会えて嬉しかったよ」
少し微笑んだ骸に私も笑って返した。
また会えるから……
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