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「美瑠ちゃん!大丈夫だっ……えぇえええっ!?」
「ツナ?」
教室に帰ってきて早々、ツナにびっくりされました。
5 友だちの友だちは友だち
並中の制服に刺繍された『風紀』の文字が煌めく。
私は急ぎながらも静かに教室のドアを開けるとまだ授業は始まってないみたいでみんながやがやしていた。
よかった…!初日早々授業を遅刻しちゃったかと思ったよ。
教室に入るとツナと目が合い、ツナが心配そうな顔をして駆け寄ってきた。
そして、さっきの反応。
どうしてそんなに驚くのかな?と首を傾げるとツナの驚き声にみんな私の方を見る。
最初はどうしたんだよダメツナーなんて声が聞こえてたけど、私を見た途端みんなして波打ったように静かになった。
まさに、沈黙。
そしてこの沈黙がすごく痛い。
さっきまで笑顔だった武まで苦笑というか固まっている。
「えっと…?」
「美瑠ちゃん……それ、どうしたの…?」
「それ?」
ツナが恐る恐る指さす場所を見て……少し納得。
さっきまでなかったブレザーの腕のところには風紀の腕章。
みんな風紀委員って怖い人達って思ってるからこれにびっくりしてるんだ。
私はニコリ、と「恭弥にもらったんだよ」と笑っていった。
『恭弥!?』
「そこに驚くの!?」
普通風紀委員になったことに驚かない!?
そうツッコミたかったけど、ツナや武、隼人が輪になってなんだかひそひそ話をし始めた。
みんなから「恐ろしい…」なんて声も聞こえる。
恐ろしいって……何が何だろう?
それにしてもなんだか仲間はずれにされてるみたいでこの話し方嫌。
盗み聞きになるけど、私は耳を澄ませて三人の会話を聞いてみる。
えっと……何々………
「(あ、あの雲雀さんを呼び捨て!しかも下の名前を!)」
「(あのヤローどういうつもりだよ!?)」
「(ホント、どういうつもりなんだろうな)」
…恭弥って呼ぶのがそんなに珍しいことなのかな?
みんな結構下の名前で呼ぶこと多いのに恭弥だけダメって……
そういえばみんな恭弥のこと『雲雀さん』って呼ぶんだっけ。
今考えると私も雲雀さんって呼んだ方がよかったのかな…!?
あ、でも恭弥が私に『恭弥』って呼べって言ったんだから不可抗力だよね。
うんうん、と一人納得していると不意にツナの隣にいた女の子が目に入る。
わっ…可愛い子!
まさにほんわかしててこの子こそ可愛いって言葉がぴったり!って感じ。
しかもその隣にいる女の子は逆にクール系の大人っぽい、美人な子。
是非お友達になりたい…!
「美瑠ちゃん!」
「は、はい!」
か、可愛すぎてなんだか緊張する…!
だってモデルさんみたいに可愛いから……あぁもう思わず敬語になっちゃってるし。
でもこの子は全然気にしてないみたいでニコっと笑ってくれた。
「私、笹川京子っていうの。よろしくね!」
「京子ちゃんね。あ、京子って呼んでもいい?」
「うんっ、もちろん!」
「よろしくね!こんなに可愛い子と友だちになれて嬉しい」
ニコリと笑いかけると京子は一瞬にして真っ赤になった。
えっ?あれ?なんで急に赤くなっちゃったんだろう?
あ、そっか…!今日ってそういえば暑かったんだ!
隣の子は黒川花っていう子らしく、京子の親友なんだって。
こんなにも性質が違うのに仲がいいんだ!
すごいなぁ。本当に仲良くないとできないよね。
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