私の予感って当たりやすいんだよね。
苦笑しながら隣で涙を流しているツナを慰める。




「うーん…なんだか大変なことになったね」

「う、ん……」




こうやって泣いているツナを見ていたら不憫でしょうがない。
さっきの会議はすごく強引だったから。……主に京子のお兄さん、が。

最初見たときはびっくりしたよ!だって似てなさすぎるもの。
兄弟なら似てないなりに癖が似てたり、口調が似てたり、どこか似てるところがあるんだけど……


全然、似てない。


あえていうなら天然っぽいところは似てるかな?
それでもやっぱり……遺伝子ってすごいよね。
生命の神秘を思っていると先程の棒倒しの総大将決めのことを思い出した。

最初は京子のお兄さんがやる予定だったみたいだけど、自分の我が儘で辞退しちゃったんだ。
ツナという、代理ならぬ生け贄に捧げて。
みんな最初は納得いかない様子だったけどお兄さんの説得に負けて、隼人の思わぬ人気に押されて、お兄さんは少し強引な決定を下した。

ツナを総大将にするという、決定。

無理だー!と嘆いていると不良っぽい格好したリボーンが現れて、



『総大将つったらボスだな。勝たねーと殺すぞ』



って脅されちゃったんだから、もう逃げ道なんてない。
最初から逃げ道なんてなかったのかもしれないけれど。




「泣かないで、ツナ。勝てばいい話だから」




ね?とふわふわとした亜麻色の髪を軽く撫でてあげる。
昔泣いているときによくお祖父様やディーノがしてくれて、安心したのを思い出して。

あの時は私も子どもすぎてよく泣いてたから……今思うと少し恥ずかしい思い出だけどね。

ツナはゆっくり泣き目のまま私を見上げて、少しだけ表情が軽くなった気がした。




「…ありがとう」




どういたしまして。


そう言ってもう少しだけ頭を撫でる。
だってツナの髪ってすごくふわふわしてて、手触りが気持ちいいから。
例えが悪いかもしれないけれど、血統つきの外国犬の毛並みみたいに綺麗な色だし、柔らかい。

羨ましいな……私の髪は真っ黒だし。

一人ツナの髪の感触を楽しんでいるとガラッと教室のドアが開く。
……と、同時にまたまた沈黙。

しんっとなった教室に凛とした低い声が響き渡った。




「美瑠、いる?」

「あ、恭弥」

「……、………」




教室に入ってきたのは恭弥。
私はツナを撫でる手を止めて恭弥の方を見ると恭弥は少し怒っている表情をしていた。
眉を顰めて、じっと私とツナを睨んでる。

その視線にビクリ、と怖くて肩が揺れると恭弥はちょっときて、と強引に腕を掴んだ。
そんな恭弥に為す術もなく、私はそのまま恭弥に連れて行かれた。
ぐいぐいと引っ張られる手が、すごく痛い。
でもやめて、とも離して、とも言えなかった。

ただ、恭弥の雰囲気が怖くて……


(私、そんなに弱いわけじゃないのに、なんで)


これが、みんなが恭弥を怖がる理由、なのかな…?
そして恭弥の部屋である応接室の中に入って、やっと恭弥が私の方を振り向いた。




「……!美瑠、泣いて……」

「え…?」




ぽろり、となま暖かいものが私の頬を滑り落ちる。
それが涙、だとわかると自分でも驚いてしまった。
涙なんて流すことないと思ってたのに……

それも、まだ逢ったばかりの恭弥の前で……こんなの、私らしくない。

私はぐいっと目を擦ってできるだけ明るくニコリ、と笑顔を作る。




「ごめん恭弥、びっくり……」

「…待って」




私の声を遮って、恭弥は私をゆっくり抱き締める。


優しく、まるで包み込むように。

そっと……壊れ物を扱うように。

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