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バンッという音とともに車のドアが閉まって、私は一軒の家の前にたたずむ。
黒い車(防弾ガラスだった)はそのままどこかに行ってしまって私は一人。
本当は「あとは一人で大丈夫だから」って私が頼んだんだけどね。

……それにしても。

失礼だけど本当にここに十代目候補がいるのかな?と首を傾げてしまいたくなった。
一般家庭の、どこにでもありそうな一軒家。
私が知っている十代目候補はいずれの人達もすごく大きな家に住んでいた。

そういえばこの前まで一般人として過ごしてたって言ってたっけ。
普通の家だけど、すごく温かそうな雰囲気を持ったこの家。
沢田綱吉くんはこんな素敵なところで育ったんだ。

この家の雰囲気のように優しい人だといいなぁ……

少しだけ緊張しながらもこの家のインターフォンに手を伸ばす。

わっ…心臓がすごくバクバクいってる…!
こんなに緊張するなんて私も予想外。

震えそうな手を抑えてインターフォンを慎重に鳴らすと『ピンポーン』という無機質な音が鳴り響いた。

お、押しちゃった…!

今更だけどそんなことを思ってしまって一人緊張を高めていく。
すると「はーい!」と可愛らしい、でもどこか落ち着いた声が聞こえて、ガチャリ、という音とともについにそのドアが開いた。




「あら…?」

「は、初めまして!あの……沢田綱吉くんはいらっしゃいますか?」




緊張気味に一気に口走って、改めて出てきた女性を見る。

沢田綱吉くんのお姉さんかな…?
でもリボーンがお姉さんがいるなんてこと言ってなかったから……お母さん?それにしても若すぎる。

でも優しそうな雰囲気に落ち着いた雰囲気はなんだか大人っぽい……

綱吉君のお母さん、だと思う人は小さく首を傾げて私を見返す。



「どなたかしら?」

「私、彼方美瑠といいます。リボーンの知り合いで……」

「まぁ、リボーンちゃんの?
ごめんなさい。今2人とも出かけているのよ。
ツナは学校にいるのだけどね」

「学校……」



そっか……今日って平日だから普通学校があるんだよね。
すっかり忘れてたよ。イタリアの学校はもう卒業してるからそういう感覚からすっかり遠ざかってた。

そう内心苦笑しながら、そういえば、とふと思いついた。
リボーンが言っていた。お前も同じ学校に通うんだぞ、って。
確か、並盛中学校…って名前。

そうですか、と呟くと綱吉君のお母さんは申し訳なさそうに笑った。



「ごめんなさいね」

「いえ!私が、気づかなかったのが悪いので…また、伺いますね」

「えぇ。是非遊びにきてね」

「はい!あ、お名前を聞いてもいいですか?」

「あら、私ったら言ってなかったかしら……奈々よ。奈々って呼んでね、美瑠ちゃん」

「じゃあ、奈々さん。また、後で」

「その時はツナも一緒ね?」




はい、と笑って頷いて並盛中学校の方へ走っていく。
手を振ってくれる奈々さんに手を振り返しながら。

すごく優しい人だった……
笑顔が温かくて、ほんわかしてる人。
なんだか、本当のお母さんみたい……なんて言ったら綱吉君に失礼かな?

あったかくなった心と共に並盛中学校に向かった。


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