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「荷物、持ったか?美瑠」

「うん。ちゃんと、持ったよ」



最低限のものだけ持ち出す。

私がイタリアに帰ることを知っているのは、ディーノと、リボーンだけ。
リボーンは行くなって言ってくれたけど、行く、と一言言ったら


『しょーがねー奴だ』


相変わらず、頑固だなっと笑われてしまった。

ディーノはそっか、と一言言って帰る準備を手伝ってくれる。



お別れ…言わずに、行かなきゃ。


ごめんね…みんな。



「美瑠…」

「ん?何、ディーノ」

「…後悔、しないか?」



お前は前に声を失ってでも守ろうとした奴らだぞ?
ずっと一緒にいたい、って言ってたじゃねーか。

それなのに…こいつらがボンゴレを継ぐまで会うつもりはないって……


本当に、それでいいのか?


そう顔を曇らせるディーノに美瑠は凛として応えた。



「私はいつでも、後悔しない選択肢を選んでるよ」



今まで一度もこうやって選択してきて、後悔したことはない。

すべて、心で決めているから。

理屈とか、頭とかじゃなくて、心で決めているから。



「…そっか。じゃ、行くか」

「うん」



さようなら…並盛。

恭弥が愛している街……

ツナ、武、隼人、京子、花、ビアンキ、ハル、イーピン、ランボ、奈々さん……


本当に今までありがとう。


学ラン姿で私を助けてくれた姿を思い出す。



恭弥……

ごめんね。何も言わずに帰っちゃって。

きっと、怒るよね。

まだ、仲直りしてないもん。


でも…でもね……私はひとときでも……



恭弥を愛せてよかった。



私に、全てを教えてくれた人。

私がいなくなって、他の好きな人ができちゃうかもしれないね。


でも、それでもいいよ?

私はずっと恭弥を愛し続けるから……


私は、恭弥の幸せを願ってるよ……

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