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ふわり、ふわり、と意識が揺蕩っているのがわかる。
私はゆっくり目をあけると、真っ暗な中に自分が一人立っていた。
「あ…倒れた、んだよね…私…」
「大丈夫なんですか、美瑠」
「骸…!」
真っ暗だったはずの景色が一気に涼しい風と共に草原へと変化する。
心配そうな表情の骸に駆け寄れば、骸は優しい手つきで私の頬に手を添えた。
その手がひんやりして気持ちがいいので、目を細めると骸はそっと目の下を撫でる。
「…顔色が悪い。また無理して力を使ったんですか?」
「…久しぶりに、使い過ぎみたい」
「苦笑している場合ですか?全く…」
「骸があきれるうちはまだ大丈夫だね」
「どうやったらその結論に?」
「だって…本当に心配なときは、怒るもの」
幼いころ、ヒットマンとして無理していたときに、悲しそうに顔を歪めて「わかってるんですか!?君が倒れたら僕がどれだけ心配か…っ近くにいれない分、余計に心配なんですよ!」と怒鳴られたことがある。
あの頃はまだ幼かったからそれでも無茶を重ねていたけれど……
今ならちゃんとわかる。骸は心配だからこそ、本気で怒ってくれていたのだと。
ふわり、と骸に笑顔を向けると、骸は一瞬目を丸くしたけど、すぐさま「…本当に…敵わないですね」と優しい笑みを浮かべた。
「…クロームはどうしています?」
「病院に入院してるよ。…迎えに行かないの?」
「行かない、ではなく…行けないんです」
「え?どうして、」
「…それは本人が一番よくわかってることです」
困ったように言われた言葉に少しだけ違和感は感じたものの、それ以上追及することはしなかった。
しばらく他愛もない話をしていたのだが、突然現実世界に鳴り響いたバトル開始の合図に私も骸も顔を強張らせる。
まさかこんなにも早く次の戦いが始まってしまうなんて……
骸はすぐに立ち上がり、美瑠、と私の名前を呼んだ。
「君はこの代理戦争から抜けた方がいい」
「…っどうして…」
「その理由は君が一番よくわかってるはずだ」
「……っ」
何も言えなかった。…骸も私が感じている恐怖に気付いていたなんて……
ぎゅっと拳を握りしめると骸は小さく苦笑して、私の頭を優しく撫でる。
「…と、言っても君はやめないのでしょう?」
「あ…」
「無理は、ダメですよ」
ぽんぽん、とひと撫でして、すぐに骸の姿が消える。
どうやら現実世界に戻ったらしい。
代理戦争がそろそろ始まってしまう。私も戻らなければ。
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