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「何で…雲雀には、あんな表情を見せる?
雲雀は郁織を選んだ……お前の魅力に気づかずに、アイツを選んだ。
なのに…っ、お前はまだ、雲雀が好きなのか…っ!?」




リボーンの言葉に私は目を見開く。
この言い方……まるで今日の任務を見ていたみたい。

まさか、私が気づかなかっただけで、リボーンもあの場にいた…?

リボーンならそれくらい簡単なことだ。
私に気配を読ませず、そっと様子を見ていることくらい。
それなら…リボーンにも、会話を聞かれた。
あの雲雀さんと私の会話、を。
私が骸にしか見せなかったはずの、リボーンには浮かべたことのない、笑顔を浮かべたことも、全部。

知ってる…見てた、んだ。




「……っ、リ、」

「オレはっ…、お前だけをずっと見てた。お前だけを愛してる。……お前も…知ってるはずだ」




きゅっと切なげにリボーンは眉を寄せ、私の頬に触れる。
そっと、壊れ物をあつかうように、優しく、私の頬を撫でた。
その繊細な指先に、リボーンの悲痛な言葉に、私は黙るしかない。
わかってる……リボーンの気持ちなんて、ずっと前から知ってた。

昔は茶化すように私に愛してる、と囁いていたリボーン。
…それが、いつの間にか本気の愛になっていた。
その本気の愛になっていることがわからないほど、私は鈍くもないし、子どもでもなかった。
任務の度に精神安定剤のように私とキスして、愛してる、と囁いていた。
私はその言葉に応えることもできず、ただ受け止めるだけで。
愛してる、と返すことも、自分からキスをすることもない。

……リボーンも知ってるはずだ。
私が人を本気で愛せないことを。

―――愛することを、諦めたことを。

なのに、私に愛を求めるのは矛盾してる。
…そしてきっぱり言えない私も、矛盾してる。
そう…私とリボーンの間には矛盾だらけ。

だけど、それが私とリボーンの関係。




「…ごめん」

「謝るな。余計虚しいだろ」

「うん…」




私はそっと目を瞑って、リボーンを抱き締めた。
応えることができないのに、こうやって抱き締めてしまう私はとても残酷。
わかってる。…でも、私にはこれしか、方法を知らない。

リボーンは一瞬だけ苦しそうに目を瞑ったけど、ぎゅっと私の体を強く抱き締めた。
そして素早く私を横抱きにしてベッドに下ろし、何度も何度もキスを落とす。
甘い、甘い、深い、…絡んで溶けるような、キス。
息苦しささえ、快楽になるような、キス。
抵抗なんてしない。…できない、から。

次第に外されていく服のボタンにそっと目を伏せ、次第に下に降りていくリボーンの唇を受け入れた。
何個も赤い華を散らされて。何度も甘い声をあげて。

ベッドの中、リボーンの熱に浮かされながら。
私は「愛してる」と囁くリボーンにただ甘い声で応えることしかしないまま。
その夜、報告書を床に落としたままリボーンと一緒に過ごした。



(それはただの傷の舐め合いかもしれないけど)

(優しい彼を拒絶することは、できない)




優しい矛盾
(この関係は、いつまで続くのだろう)

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