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「そ、そうだっ!どうせコイツも金さえあれば体も売る女なんだろう!?
顔だけはいいから俺様が買ってやろうとっ」




―――パァァァンッ!



きゃあっ!という女性の悲鳴の中、私はそっと溜息をついてリボーンのタキシードに目を移した。

これ以上あのバカ男なんて見ていたくなかったから。

青年はぱくぱくと金魚のように口をせわしなく動かしながらリボーンを見つめる。
リボーンは自分の愛銃から硝煙を立たせながら今度はゆっくりと青年の額に標準を合わせた。

…さっきの銃弾は、青年の耳の横ぎりぎりを通って壁をのめり込ませている。
彼は本気で怒ってくれた。…私を軽んじたこの男の発言に。

カチャリ、と安全装置を再び外してリボーンはこの会場全体を凍らせるほどの殺気を青年一人に向けた。




「コイツは、そんな安い女じゃねぇ。次口を開けてみろ。……殺すぞ」

「ひっ…」




うわぁぁ!っとみっともない悲鳴をあげながら男は会場から一目散に出ていった。

殺さないんだ、と頭の片隅で思っていたけど、何も言わず。
まぁあのバカ男も少しは改心するだろう、と肩をすくめた。

でも一度固まった会場の空気が元に戻るはず無く、誰も一言も発しない。
…結局はパーティーを台無しにしてしまった、ってわけか。仕方ないわね。

そっとリボーンに視線を向けるけどリボーンはまだ怖い顔のままで。
どうしようか、と思いつつも「リボーン」と優しく声を掛けてみる。




「……翠徠、」

「ありがとう、リボーン。ちょっとすっきり、…っきゃっ」




あろうことかリボーンは怖い顔のまま私の体を抱き上げて、そのまま歩き始めた。
え、ちょっと、どこに行くのよ!?という言葉も無視してリボーンは会場の奥へと進んでいく。

最後にちらりと見えたのが綱吉の苦笑姿。

……リボーンの姿が見えなくなって、ようやく会場にいた人間は息をすることができた。



孤高なる彼女を侮辱することは許されない。
(それが例え、誰であろうと)

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