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黒いドレスに黒い髪、黒い目…よく考えれば装飾品以外は黒に身を包んでいる私はいとも簡単に闇と同化することができた。
中庭に入った途端、郁織のピンクのドレスは映えてぼぉっと浮かんでいるように見えた。

後ろからはパーティー会場特有の人のおしゃべり声が微かに聞こえる。
でもここは私と郁織以外いない……無音の空間だった。




「ねぇ、翠徠」

「何?」

「私、貴女なんて大嫌いよ」




言葉と裏腹に郁織の声音はとても楽しそうで。
まるで愛しくてたまらない玩具にわざと嫌いだ、と言っているように聞こえた。

私は胸元に隠している小さな殺傷力の弱い銃をすぐに取り出せるようにしながら、郁織を睨む。
郁織はその様子に気付いたのかクスクスと楽しそうに笑みを漏らした。

……その笑顔に、警報がさらに鳴り響く。

この笑みは…幼いが故に残酷なことをする前に子供が浮かべる笑み、だ。
子供は好奇心が強い。…だから平気で虫を殺して、喜んだりする。
命の大切さを知らないから無邪気に、蟻の巣に水を流し込んで全滅させることができる。
無邪気で無知で幼いというのは大人になった私には一種の恐怖を植え付けた。


―――今の郁織には、それがある。




「殺しても殺したりないほど、貴女が憎い」

「……知ってる」

「だからね、」




ふいに近づいてきた郁織に、ついに私は小型の銃を抜き、突きつけた。

これ以上近づけてはダメだ。……何かを、隠し持っている。
郁織は何か大きな…巨大なモノを、バックにつけてる。

それが何か、まではわからないけど。…嫌な予感がしてたまらない。
カチャリ、と標的を郁織に合わせると郁織は一瞬だけびっくりしたように固まったが、すぐにその表情が楽しそうな、笑顔に変化していった。

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