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まさか、と思った。
でも、甘く、低く囁く声は確かに彼、で。
ぎゅっと強く後ろから抱きしめる暖かさも、少し薬くさいけれど、腕の強さは確かに彼、で。
少し視線をずらせば…穏やかに、私を愛しげに見つめてくれる、リボーンが、いて。
「リボーン…っ」
「悪りぃな、雲雀。こいつはすでにお前じゃなくてオレを愛しているらしい」
「ちょっ!」
「なんだ、違うのか?…翠徠」
「…っ!」
低く囁かれた自分の名前にぞくり、と粟立つ。
ドキンドキンと心臓が激しく動いて、カァッと熱が頬に集中するのがわかった。
あぁどうしよう…こんなに嬉しいなんて。こんなに恥ずかしい、なんて。
今まで何度リボーンと唇を、身体を重ねたかわからない私なのに。
高鳴る鼓動を、隠すことなんて…できない。
「…はぁ……どうやら、僕はいつも気づくのが遅いみたいだね」
「そうだな」
「…じゃあね」
小さく…ほんの小さく本当に哀しそうに笑って雲雀さんは私たちに背を向けた。
…後悔は全くしていない。今どうしようもなく好きなのは…リボーンだから。
あの人は初恋の人で、もう昔に諦めた人だから。
私はすぐに雲雀さんから目を離して、まっすぐリボーンを見つめ…縋り付くように抱きついた。
今更だけど…リボーンが生きていることを、確かめたくて。
この愛しい体温を、失くしてないんだって……
「…リボーン…っ」
「翠徠…」
「よかった…っ生きてて、本当にっ…!」
「…オレは、お前より先に死んだりしねぇよ」
お前を振り向かせるまでは、死ねねぇ。
そう小さく笑いながら、安心させるように囁くリボーンに何故か私が泣きそうだった。
バカ。私が振り向いたこと、わかってるくせに…
それでも精一杯の笑顔を浮かべて少しだけリボーンと距離をとると、リボーンの目を真っ直ぐに見つめた。
「愛してるわ、リボーン。…あなただけを」
きっと今の私は泣きながら笑っている、とても変な顔をしているだろう。
それでも伝えたい。私の心からの言葉。…あなたにだけ伝えたい、愛しい心。
何もかもが愛おしくて、私から唇を重ねればリボーンが驚いたように目を見開いたのがわかって思わず笑ってしまった。
そういえば私からキスしたのははじめてよね…あなたとのキスは数え切れないほどしたのに。
バクバクとうるさい心臓に私は堪らなくなってすぐに唇を離そうとすれば、
「んんっ!!」
再びリボーンに荒々しく口付けられてそのままベッドに倒れこんでしまう。
何度も何度も舌を絡めあって、全てを食べつくすような、そんなキス。
流れていく唾液が妙になまめかしくて、私の身体が熱くなっていく。
どんどんぼんやりしてくるとリボーンはゆっくり唇を離して、ぎゅうっと強く私の身体を抱きしめた。
「やっと…」
お前から“愛してる”って聞けた……
今までにないくらい嬉しそうな声音でそう囁くから、私の胸の奥がぎゅうと締め付けられる。
愛しい、大好き、愛してる…あぁもう、この気持ちを表すことなんてできない。
そっとリボーンの頬に触れれば、リボーンは私を本当に愛おしそうに目を細めながら見つめてくれる。
ねぇ、やっと見つけたわ……
愛しいという感情を。
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