Io trovai una luce.



最近、雲雀さんは様子が変だ。

長期任務から帰ってきて、雲雀さんは今までにないくらい仕事に熱中しているように見える。
仕事に熱心なのはボスとして嬉しいけど…でも、それがどこか無理して仕事しているように見えるんだ。

まるで、何かを忘れたいみたい……

海鈴のおかげで雲雀さんは最近丸くなっていた。
荒々しい雰囲気は少しだけ消えて、無闇な暴力は少なくなっていた。
けど…いや、今も減ってるんだよ!減ってるんだけど…逆に元気ないっていうか……

そう、覇気がないんだ。

理由はわからない。
でもきっと、海鈴が関係していると思う。

だって雲雀さんに影響を与えられるのは海鈴だけだから。
でも雲雀さんに聞きたくても聞けないもんなぁ…聞いたら逆に咬み殺されそうだし。
それでもこのままにはできない。

だって、見ていて雲雀さんが痛々しいんだ。
すごく傷ついているのにそれを見せないようにして、いつもと変わらないように見せかける。

そんなに強がらなくてもいいんじゃないですか?

そう言ってあげたくなるほど。
どうすれば、いいのかなぁ……




「何一人で唸ってるんですか?」

「あ、骸」




変ですよ、なんて嫌味を言いながら部屋に入ってきたのは骸。
雲雀さんとは最悪と言っていいほど仲が悪いヤツ。
まぁ黒曜のことがあったからしょうがないとは思うけどね。

どうやら報告書を持ってきてくれたようで、手には書類が握られていた。
怪訝そうな顔をしている骸に苦笑して報告書を受け取る。

あれ…これってこの前、雲雀さんが巻き込まれた交戦?
何で骸が報告書なんて書いてんだろう?

ちらり、と骸を見れば何ですか、と何もないように応える。




「いや…何で雲雀さんのを骸が書いてんのかなぁっと思って」

「…頼まれたからですよ、雲雀くんに」

「えっ!?」




思わず驚きで書類を落としてしまいそうになった。いや、オレが驚くのは無理ないと思う。

だって…あの雲雀さんだよ?人に絶対頼ったりしない、あの雲雀さんが。

大嫌いなはずの骸に報告書を頼むなんて…!
天地がひっくり返ってもないと思っていたのに。

…そういえばこれが起こったのは、雲雀さんが長期任務から帰ってきた当日。

もしかして…これで、何かあった…?




「骸…理由は聞いた?」

「思い出したくないからって言ってましたよ。
全く…目を疑いましたよ。あれ、本当にあの凶暴な雲雀くんですか?
僕を見たらすぐに殴りかかってくるくせに、この時だけ自分から会いに来たんですよ?僕は君の悪戯かと思いました」

「そんなことするはずないだろ。
でも…思い出したくないから、か…」




これでヒントができた。
絶対、この日に海鈴と雲雀さんの間に何かあったんだ。

いつもの雲雀さんに戻すために、理由をつきとめないと!

そう思っていつもより念入りに書類に目を通すと骸はいつの間にか勝手に紅茶を淹れて優雅に飲んでいた。
何でまだいるわけ?という視線を向ければしれっと「僕に知る権利くらいありそうですからね」なんて言う。

まぁ、いいか。あぁ見えて骸も雲雀さんのことを心配しているみたいだし。




「まだわかんないけど…」

「確信がないことは別に興味ありません」

「(なら聞くなよ…っ!)」




コノヤロウ、と心の中だけで毒を吐いて、海鈴の顔を思い出す。
あんなに寂しそうにしていた海鈴……

あの表情は、雲雀さんのことが好きなんじゃないかな。オレには確証持てないけどね。

それに、雲雀さんも……

報告書を見れば敵は10人ほどで目的は雲雀さんのリングだと書かれている。
海鈴のことは、一切書かれていない。

でもたぶん、海鈴が側にいたんじゃないかな?
それで海鈴に怪我をさせたとか、怖い目に遭わせちゃったとか。
だから、この日のことを思い出したくない。

うーん…そんな気がするんだけどなぁ。…やっぱり、こういうのは本人に聞いた方がいいよね。
雲雀さんに聞いても絶対教えてくれないから……

海鈴に、聞きに行こう。

よしっ!思い立ったら吉日!
書類が溜まっててリボーンに殺されそうだけど、これも守護者のため!
そう思って立ち上がると骸が不思議そうにオレを見つめる。



「どこ行くんです?」

「思い当たるところに行くんだ。骸もくる?」

「…そうですね」



軽く逡巡するような仕草をしたけど、行きます、と言って立ち上がった。
やっぱり気になってるんだ、骸も。
一応グローブとリングも持って執務室から出て行く。

車で行った方が早いかな、と思いつつ玄関に向かうとなんだか騒がしい気がした。
骸も同じことを思ったようでどうしたんでしょうね?と首を傾げている。
少し歩調を早めて騒ぎの場所に向かう。

どうやら誰か知らない人間が来て、もめてるみたいだ。
たまにオレの名前や雲雀さんの名前が聞こえてくる。

…あ、れ…?

変だな…」さっきからボンゴレの人間の声しかしない。
普通なら来ている相手の声もするはずなのに、なんだか門番の部下達が一人でしゃべっているみたいだ。

どういうことだろう?こんなこと、相手が話せない限りあるはず……




「…!そうか!」

「え、ちょっと綱吉くん!?」




突然走り出したオレに骸はわけがわからないまま付いてくる。
でもオレは骸なんて構っている暇はなかった。

話せない子は、一人しか知らない。
白い百合のような、綺麗で、純粋で、儚い、あの子。

オレは玄関につくと、



一つの光を見つけた
(海鈴・・・!)

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