お前の気持ちなんざ知るかよ



「好きだ、付き合え」

「…はぁ!?」




普段と変わらないお昼休みだったはずだ。
変わっていたことといえば友達のロビンが珍しくお弁当を忘れて購買で買ってきたパンだったくらいで。
本当にそれまでは普通に談笑していて普段と変わらなかったはずなのに、何故かさっきの言葉で教室中の空気が一変した。

問題発言したのは私の1個上の先輩で、この学校で一番といっても過言でないほどのモテ男、トラファルガー先輩。

ちなみにトラファルガー先輩とは特に接点はない。あるといったら……うーん、この前終わった体育祭で同じ組だったくらい?
とにかく、トラファルガー先輩とは一度も話したこともないし、「好きだ」と言われる理由もない。
意味がわからなくて、眉を顰めているとそのうちはっと気づく。

私じゃなくて、私の前に座ってる麗しのロビンに言っているんだ!

なるほど、それなら納得する。そう一人頷いてトラファルガー先輩に背を向けてお弁当を再び食べ始めると「無視するとはいい度胸だな」とトラファルガー先輩の低い声。
うわぁ、なんか怒ってらっしゃる!ほら、ロビン早く返事しなよ!
そうロビンに視線を向けたが、ロビンはただ微笑んでいるだけ。
いやいや、笑っている場合じゃないよ?トラファルガー先輩、結構しびれを切らしているって!




「お前に言ってるんだ、姫」

「………え?」

「え、じゃねぇ。この俺様が直々に告白してやってんだ。早くはいって言え」

「いやいやいや、先輩、意味わかんないですよ。ていうか初対面ですよね?」

「…チッ、忘れてやがる」

「え、忘れてるって…」




一体何を、と続けようとしたが、トラファルガー先輩に無理矢理手首を掴まれて立たされたからそれ以上声に出すことができず。
その代り痛い!と抗議しようと思えばトラファルガー先輩の綺麗な顔がとっても近くなる。

待って待って!先輩顔近いです!意味わかんないです!




「お前の気持ちなんざ知るかよ」




「とりあえず付き合え」



何て横暴な人なんだ!と言いたかったけど、ニヤリと笑ったトラファルガー先輩があまりにもかっこよすぎて。
私もただのミーハーだったんだ、と思いながら私は反撃の言葉を飲み込んだのだった。

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