STAGE.14
『怪盗フンドシ仮面?』
「―――って何ソレ?」
事の原因を追及する中、沖田が発した言葉に、名無しさんと名無しくんは首をかしげた。
「最近、巷では有名な奴でさァ」
今回の下着泥棒。
夜の間とは言え、警察が寝泊りする場所で盗みを働くなんてのは相当な手練の仕業。
そう推測した沖田が世間を騒がせているコソ泥の話を始めた。
真っ赤な褌を頭に被りブリーフ一丁で闇を駈け抜け、綺麗な女の人の下着を盗んではモテない男達にバラまくという。
「モテない男達にか‥‥となるとオレには無縁だけど、真選組のメンバーだと結構もらってる奴いんじゃない?」
『(今、サラッとすごいこと言った)』
「‥‥土方さんとか」
言った名無しくんの言葉に反応するかのように、凄まじい殺気が三人の後方から伝わってきた。
振り返った先には、縁側に立って打ち震える土方の姿が。
「「『(‥‥もらったんだ)』」」
「許せねェ‥‥この俺に‥‥この俺に‥‥、
取っ捕まえて叩っ斬ってやる!!」
思いの丈を叫んだ土方が、手に持っていた薄い緑色のパンツを跡形もないほど刀で切り刻んだ。
「捕まえるたって土方さん、この件は真選組の管轄外ですぜィ?」
そんな復讐に燃える様子の土方に、沖田が問いかけた。
「それなら心配いらねェ、近藤さんがもう現場に向かってる」
「近藤さんが?」
「あぁ――てめェらもグズグズしてねーで、さっさと行くぞ」