STAGE.1

STAGE.3

コポポポポポ

新しく淹れたお茶が湯気を立てながら湯呑みに注がれていく。
何気なしにその光景をボーッと眺めていると、入り口付近に人の気配がして名無しさんが振り返る。


『‥‥土方さん?』


名前を呼ばれてハッとなった土方が、台所に足を踏み入れた。

何の用だろうと首をかしげると、焦ったように用件を伝えて来た。


「いや、茶をもらいに来た」

『あ、そうですか。言ってくれれば部屋までお持ちしたのに』

「いや、頼む人間を探すより自分で取りに来た方が早い」

『あ、そうですね』


言って、名無しさんは新しい湯呑みを取り出して、お茶を注ぎ入れる。


『あの、部屋までお持ちしましょうか?』


一応、提案してみるが、


「いや、ここでいい」


と、やんわりと断られたため、湯呑みを乗せたおぼんを差し出す。

その湯呑みを手に取る土方。


「‥‥‥‥」

『‥‥‥‥』

「‥‥‥‥」

『‥‥‥‥』


いやいやいや、何この沈黙?!気まず!!

お茶受け取ったんだから、さっさと部屋に戻って下さいィィィ!!

てか、あまり二人きりで居たくないんですけど。
自分が土方さんにとって、そういう対象になる訳がないのは分かっているけど、総悟の忠告を無視するのも怖いし。

と、とりあえず脱出だ。


『あ、あの、それじゃ、私行きますね』

「あ、ああ」


パタパタと足早に台所を出て行く名無しさん。

何となしにその後ろ姿を見つめていた土方は、ガシガシと頭を掻いた。

居間に戻ったのはいいけれど、せっかく淹れたお茶を持って来ていないことに気付き、総悟にものっそい呆れた顔を向けられた私。

ドチクショー!!

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